生体肝移植後、特異的な合併症にて救命できなかった症例

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抄録

<p>(はじめに) 肝移植は感染症、拒絶反応、血管合併症など様々な合併症が複合的に起こり、治療に難渋することがある。今回、生体肝移植後、特異的な合併症にて救命できなかった症例を経験したので報告する。(症例1)60歳台、男性。B型肝硬変、肝細胞癌、慢性腎不全に対して右葉グラフトを用いて生体肝移植術を施行。術後呼吸状態の悪化、寛解を繰り返し、人工呼吸器管理を繰り返していた(POD7気管内挿管、POD15抜管、POD21再挿管、POD28気管切開、POD43人工呼吸器離脱、POD47人工呼吸器再開。術後当初は肺水腫、肺炎を疑っていたが肺胞出血を認め、間質性肺炎の悪化による呼吸不全と診断。集中治療管理(人工呼吸器管理、CHDF、ステロイドパルス療法など)を施行していたが効果なく、術後経過中、明らかな感染症や拒絶反応は認めなかったが改善せず、POD93に死亡。(症例2)40歳台、男性。B型肝炎ウイルスの無症候性キャリアからの急性増悪による急性肝不全に対して右葉グラフトを用いて生体肝移植施行。術後経過は概ね良好でPOD18一般病棟へ転棟。POD19グロブリン製剤投与より気分不快を訴えて急変。心肺蘇生を施行するも救命できず、同日、死亡。病理解剖はアナフィラキシー反応で認められる広範な肺水腫の所見が顕著であり、非うっ血性肺水腫でI型アレルギーを疑う所見と診断。(結語)生体肝移植後、特異的な合併症にて救命できなかった症例を経験した。文献的考察を含め報告する。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s326_1-s326_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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