アルファ/デルタ株優勢時期における新型コロナウイルス感染症患者に対するmRNAワクチンの入院予防効果

  • 爾見 まさ子
    東京都港区みなと保健所保健予防課 国際医療福祉大学大学院医学研究科公衆衛生学専攻
  • 加藤 康幸
    国際医療福祉大学大学院医学研究科公衆衛生学専攻
  • 池田 俊也
    国際医療福祉大学大学院医学研究科公衆衛生学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Effectiveness of COVID-19 mRNA vaccine against hospitalization during the alpha and delta variant surges in Tokyo

抄録

<p>目的 新型コロナウイルスワクチンによる入院および重症化予防に関する実社会での有効性についてはエビデンスが不足している。国内の公的なデータベースであるHER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム)を用いて,mRNAワクチンの入院予防効果を明らかにすることを目的とした。</p><p>方法 2021年5月17日から同年9月30日に,SARS-CoV-2陽性と確定診断された東京都港区在住の50歳以上を対象としたケースコントロール研究である。ケース群は発症または診断後10日までに入院した者(192例),コントロール群は発症または診断後10日まで自宅療養完了した者(366例)とした。mRNAワクチン未接種者を参照とし,1回目接種後14日以内および15日以降の発症者,2回目接種後14日以内および15日以降の発症者に層別化し,調整オッズ比を算出した。主な入院・重症化リスク因子とされる年齢,性別,基礎疾患の有無についてワクチン接種歴の調整オッズ比を算出した。</p><p>結果 ケース群,コントロール群における平均年齢はそれぞれが61.1歳,57.6歳であり,男性の割合は,それぞれ66.7%,54.4%であった。また,ケース群で71.3%の者,コントロール群で70.2%の者がワクチン未接種であった。ワクチン未接種者を参照とした調整オッズ比は1回目接種後14日以内が1.48(95%信頼区間[CI]0.88–2.50),1回目接種後15日以降が0.71(95% CI 0.27–1.80),2回目接種後14日以内が0.58(95% CI 0.20–1.66),2回目接種後15日以降が0.30(95% CI 0.13–0.67)であった。対象者の属性における調整オッズ比は,年齢の1歳増加が1.05(95% CI 1.03–1.07),男性が1.69(95% CI 1.15–2.48),基礎疾患の存在が1.57(95% CI 1.07–2.29)であった。</p><p>結論 mRNAワクチンの2回目接種後15日以降にCOVID-19を発症した者は入院するリスクが有意に低かった。また,高齢,男性,基礎疾患の存在は入院のリスク因子であった。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198839577344
  • DOI
    10.11236/jph.23-057
  • ISSN
    21878986
    05461766
  • PubMed
    38556363
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • PubMed
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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