エコフィード配合割合が異なる飼養条件下で生産された「紀州和華牛」の肉質特性

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タイトル別名
  • Meat Quality Characteristics of Kishu-Wakaushi under Different Eco-Feed Ratio
  • エコフィード ハイゴウ ワリアイ ガ コトナル シヨウ ジョウケン カ デ セイサン サレタ 「 キシュウ ワ カギュウ 」 ノ ニクシツ トクセイ

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抄録

紀州和華牛は赤身肉ニーズの高まりを背景に開発された脂肪交雑を抑えた黒毛和種の牛肉である。紀州和華牛の生産には和歌山県産の食品加工副産物を利用して製造されたエコフィードを1割以上与えて肥育することや、積極的なビタミンA制限を行わないことなどの条件が定められている。さらに近年の飼料価格高騰によりエコフィードの混合割合を増やした肥育管理の経済的効果がさらに高まっている。しかし、このような条件下で生産された牛肉にどのような肉質特性が付与されるかは明らかでない。本研究では、エコフィード給与量が紀州和華牛の肉質特性に与える影響を探るため、市販飼料にエコフィードを30%または50%混合した飼料で肥育した牛を試験区(30%区、50%区)、市販飼料で肥育された牛を対照区として、枝肉格付成績およびロース肉の各種理化学分析値への影響を調べた。その結果、枝肉格付形質では、対照区に比べ50%区でロース芯面積やばらの厚さの成績が高い一方で、試験区で成績が低い形質は確認されず、エコフィードを30%または50%混合した飼料の給与が枝肉成績に良い影響をもたらすことが示唆された。ロース肉の理化学分析では、対照区に比べ試験区でビタミンE含量、リノール酸割合、多価不飽和脂肪酸割合が有意に高く、脂肪融点が有意に低くなっていた。また30%区では粗脂肪含量が有意に少なく、50%区ではパルミチン酸割合が有意に低くなっていた。試験区でビタミンE量が有意に多かったのはエコフィード中にビタミンEが多く含まれていたことによると考えられた。また試験区で不飽和脂肪酸割合が高かったことが脂肪融点の低下に影響したと考えられた。以上の結果から、エコフィードを給与された紀州和華牛はビタミンE量が多く、脂肪融点の低い口溶けの良い牛肉であることが示唆された。

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