少子社会日本における高等教育へのアクセス : 大学進学・選択行動の地域的差異から考える

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  • Access to Higher Education in a Society with Decreasing Numbers of Children and Youth : Regional Variations in College Choices

抄録

本稿では、公的統計や、高校生の進路に関する調査データの分析を通して、高校生の大学進学・選択行動の地域的差異を検討した。その結果、次の3点が明らかになった。第一に、「大学進学希望の有無が世帯年収に左右される傾向」は地方ほど強い。これは基本的には、私立大学の多くが下宿を要する遠方にあるためで、その結果、大都市圏ならば進学しているはずの成績でも進学しないケースが生じている。第二に、大都市圏に偏在する入学難易度の高い私立大学への進学の多さに地域差があり、それが進学率全体の差も生み出している。そこでは、「本来の学力」で入学できるよりも、難易度の低い大学へ進学する場合も起きていると思われる。第三に、主な進学先の所在地にも、出身地域によって相違がある。進学先所在地の違いは、進学費用が関わる一方、進学から期待されるリターンの地域間の付置とも対応している。18歳人口が減少する中、大都市圏在住者の比重が増す一方、地方の若者は「少数者」になりつつある。少子社会日本における高等教育へのアクセスのあり方を議論する上では、「大都市圏の不自由」と「地方の不利益」をともに踏まえることが重要と思われる。

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