当訪問看護ステーションにおける Family-Centered Careの実践状況

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抄録

<p>【はじめに,目的】</p> <p> Family-Centered Care(以下FCC)は,小児リハビリテーションにおける最良の実践とされている.FCCは主に共有・尊重・協働の3側面が重要視され,その実践状況を評価するツールとして Measure of Processes of Care(以下MPOC)がある.MPOCは,家族が記載するMPOC-20とサービス提供者が記載する MPOC-SPがあり,両者間のケアに対する認識の比較が可能である.本邦におけるFCCの実践報告は,NICU等急性期は散見されるが,在宅医療における報告は見当たらない. そこで,今回MPOC-20・SPを用いて,当訪問看護ステーション (以下当事業所)におけるFCCの実践状況を分析することにした. </p> <p>【方法】</p> <p> MPOCは過去1年間のサービス提供状況から,各項目を1(全くあてはまらない)~7点(非常によくあてはまる),0点(該当なし)で回答する.MPOC-20の質問項目は「励ましと協力」「全般的な情報提供」「子どもに関する情報提供」「対等で包括的 な関わり」「尊重と支え」の5領域,MPOC-SPは「思いやり」 「全般的な情報提供」「子どもに関する情報提供」「敬意ある対応」の4領域に分類される. 当事業所の利用者家族にMPOC-20,当事業所スタッフに MPOC-SPの記載を依頼し,各項目・領域の平均点,標準偏差等を求めた. </p> <p>【結果】</p> <p> MPOC-20は149/151枚(回収率98%)を回収した.回答者は母親 (98%)が多く,利用者の年齢は0~21歳(平均7.44±4.02歳)であった.5領域の得点は「励ましと協力」6.13±1.16点,「全般的な情報提供」4.53±1.96点,「子どもに関する情報提供」 4.85±1.92点,「対応で包括的な関わり」6.19±1.15点,「 尊重と支え」6.07±1.30点であった. MPOC-SPは13/13枚(100%)を回収した.職種の内訳は看護師 5名,PT4名,OT2名,ST2名であった.臨床経験年数は5~23年(平均9.92±4.73年)で,小児分野の経験は1~18年(平均7.77 ±4.15年)であった.4領域の得点は,「思いやり」4.43±1.40点,「全般的な情報提供」3.57±1.56点,「子どもに関する情報提供」3.60±1.68点,「敬意ある対応」4.93±1.35点であった. </p> <p>【考察】</p> <p> MPOC-20では,先行研究と同様に「励ましと協力」「対等で包括的な関わり」「尊重と支え」の平均得点は6点台と高値であった.これらより当事業所は尊重・協働の側面は十分に実践できていると考えられた. 一方で,「全般的な情報提供」「子どもに関する情報提供」の 平均得点は3~4点台と低値で,先行研究と同様の結果であった.特に「全般的な情報提供」では他の親との接点のつくり方や地域サービスの情報提供が「十分ではない」と感じる家族が多く,ス タッフも不十分であると感じていた. MPOCを用いることは施設の強みや改善点を知ることに繋がる.今後当事業所ではより良い 「全般的な情報提供」の方法を多職種で検討していきたい. </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>対象者に口頭にて説明を行い,データ利用の同意を得た場合のみ記載を依頼した.評価用紙は無記名であり個人情報やプライバシー保護には十分に配慮した.また本研究はリニエR研究倫理委員会にて承認を得た (承認番号2060).</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 101-101, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198840474880
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_101
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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