脳性麻痺患者におけるPosture and Postural Ability Scaleと PEDIの関係性

DOI
  • 石田 優樹
    まちだ丘の上病院 リハビリテーション科
  • 楠本 泰士
    まちだ丘の上病院 リハビリテーション科 福島県立医科大学
  • 木村 優希
    東京都立大学大学院 人間健康科学研究科理学療法科学域 相模原療育園
  • 儀間 裕貴
    東京都立大学大学院 人間健康科学研究科理学療法科学域

抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p> 脳性麻痺 (以下、CP)患者の日常生活動作 (以下、ADL)が制限される一因として姿勢障がいやアライメント不良がある。しかし、臨床で簡易的に姿勢を評価できる尺度が無く、姿勢とADLの関 係について着目した報告は少ない。姿勢の評価尺度には Posture and Postural Ability Scale (PPAS)があり、本学会にて日本語版PPASの信頼性や妥当性を報告予定である。PPASは背臥位、腹臥位、座位、立位の各姿勢にて、姿勢能力 (どのような運動が可能か)と姿勢の質 (前額面と矢状面の静的アライメントなど)を観察する。ADLの評価尺度にはPediatric Evaluation of Disability Inventory (PEDI)があり、脳性麻痺患者のADL評価として、多くの研究で信頼性や妥当性、反応性が報告されている。今回、PPASとPEDIを用いて姿勢能力や静的アライメントとADLの関係の特徴を明らかにすることを目的とした。 </p> <p>【方法】</p> <p> 対象は東京と神奈川の小児関連の2施設に通院しているCP患者 37名 (26.4±15.8歳、GMFCSレベルⅠ:5名、Ⅱ:10名、Ⅲ: 7名、Ⅳ:9名、Ⅴ:6名、痙直型両側性麻痺:31名、痙直型片側性麻痺:1名、アテトーゼ型:1名、失調型:2名、混合型: 1名)とした。PPASは姿勢能力をレベル1~7 (レベル1が最低、レベル7が最高)で採点し、姿勢の質は前額面および矢状面から頭部・体幹・骨盤・下肢のアライメントや体重分布など計6項目を「対称・中間位 (1点)」または「非対称・正中からの逸脱 (0点)」で評価し、合計はそれぞれ最高6点となる。PEDIは移動とセルフケアの項目とし、各項目の機能的スキルと介助者による援助尺度の尺度化スコアを算出した。PPASとPEDIの各項目の関係性をSpearmanの順位相関係数を用いて検討した。 </p> <p>【結果】</p> <p> PPASとPEDIの相関係数の結果をPPASの姿勢能力、姿勢の質 (前額面)、姿勢の質 (矢状面)の順に示す。移動の機能的スキルは、背臥位は0.74、0.66、0.58、腹臥位は0.74、0.67、0.62、座位は0.86、0,71、0.74、立位は0.82、0.73、0.69であった。移動 の介助者による援助尺度は、背臥位は0.75、0.54、0.52、腹臥位は0.75、0.52、0.56、座位は0.79、0.62、0.68、立位は0.70、 0.60、0.61であった。セルフケアの機能的スキルは、背臥位は 0.76、0.55、0.51、腹臥位は0.76、0.55、0.61、座位は0.73、 0.59、0.64、立位は0.70、0.59、0.57であった。セルフケアの介 助者による援助尺度は、背臥位は0.73、0.48、 0.45、腹臥位は 0.73、0.48、0.55、座位は0.69、0.55、0.61、立位は0.62、0.56、 0.53であった。 </p> <p>【考察】</p> <p> 今回、PPASとPEDIのスコアはいずれも中程度以上の相関関係を認めた。PEDIとの相関係数はいずれの姿勢においても、姿勢能力が姿勢の質 (前額面)、姿勢の質 (矢状面)よりも高い傾向にあった。静的アライメントなどを評価する姿勢の質よりも、姿勢能力がADLと強い関連をもつ可能性が示唆された。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究は東京都立大学荒川キャンパス研究倫理委員会 (承認番号:22037)の承認後、対象者と代諾者には口頭と書面を用いて研究の概要を十分に説明し、同意を得た上で実施した。本研究への協力を断っても、今後の診療や通院には何ら支障のないこと、一度同意した後でも同意を撤回できる旨を口頭と書面にて伝えた。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 121-121, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198840484736
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_121
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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