学齢期の痙直型両麻痺児における成長に伴う運動・ADL機能の改善経過について-外来リハビリを通した症例-

DOI
  • 千葉 彩加
    千葉県千葉リハビリテーションセンター リハビリテーション治療部 小児療法室 第2理学療法科
  • 小川 智美
    千葉県千葉リハビリテーションセンター リハビリテーション治療部 小児療法室 第2理学療法科
  • 大矢 祥平
    千葉県千葉リハビリテーションセンター リハビリテーション治療部 小児療法室 第1理学療法科
  • 工藤 大弥
    千葉県千葉リハビリテーションセンター リハビリテーション治療部 小児療法室 作業療法科
  • 鶴岡 弘章
    千葉県千葉リハビリテーションセンター 小児整形外科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p> 立位・歩行の可能な脳性麻痺を有する児は10歳頃に運動機能向上がプラトーになり、成長期の身長や体重増加で立位・歩行能力は低下し、痙縮や筋力不均衡により側弯や股関節脱臼などの二次障害につながるとされる。これに伴い、ADL機能低下が生じ、集中的なリハビリや手術などを行い、機能改善を図る例は多くある。しかし、成長期に伴う二次障害が生じる前に、外来リハビリを通して、運動機能改善を図った具体的な報告は少ない。今回成長期による運動機能低下を伴ったCP児に対し、 6F-wordsの考え方を組み込み、目標設定の共有と日常生活に沿った活動提案に注目した外来リハビリを行い、運動機能・ADL改善を認めたため報告する。 </p> <p>【方法および症例報告】</p> <p> 症例は脳室周囲白質軟化症と診断された痙直型両麻痺を呈する 11歳男児 (GMFCSⅢ、MACSⅠ、CFCSⅠ)。特別支援学校で学習指導要領に準じた教育を受けている。2歳より当院にてPT、ボツリヌス療法を開始した。現在も月1回のPT・OTを他病院と併用し同じ頻度で実施している。体格変化として、X年9月から X+1年9月にかけて、身長が10cm、体重4kg増加し、身長 144cm、体重40kgとなった。また、X+1年9月のGMFM66-IS (item3)は、56.6、PEDIの尺度化スコアは機能的セルフケア 70.8、移動 58.2、社会的機能 73.4、介護者による援助 セルフケア 76.7、移動 78.3、社会的機能 100.0、FMS 5m C、50m 2点、500m 1点だった。母からは成長期に伴い、姿勢の崩れ、体力・歩行能力低下を感じ、本人も困りごとはないが、足がつるとの発言があった。本人のやりたいこと、セラピスト視点か ら必要なことを考慮し、姿勢の崩れ予防、活動・歩行量の維持、アクティビティへの挑戦を目標共有した。自宅で筋力トレーニングを最初提案したが、継続できなかったため、6F-wordsの身体 (Fitness)ではなく、日常生活機能 (Functioning)の視点から 立位での家事の手伝い、ペットとの遊び等を提案した。 </p> <p>【結果および経過】</p> <p> X +2年には身長がさらに3cm、体重2kg増加した。一方、 GMFM66 63.3、PEDIの機能的セルフケア 73.6、社会的機能 73.4と向上が認められた。介護者による援助やFMSに変化はなかった。しかし母からは手引き歩行時の介助量軽減、立位で階段を上る機会が増え、本人からはペットと遊ぶことや立位の機会が増えたと発言があった。 </p> <p>【考察】</p> <p> 脳性麻痺児・者においては活動量増加により身体機能向上が認められた報告 (Damianoら、2006)がある。本症例では、生活面における行動変容の提案を促すことや、月1回の外来リハビリ頻度でも本人・家族と目標設定を行い、環境変化に合わせた活動の提案をすることが身体活動量を増加させたことで運動およびADL機能改善につながったと考える。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究は、当院倫理委員会の承認を得て行い、本人に紙面および口頭での同意を得た (承認番号:医療5-15)。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 129-129, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198840488576
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_129
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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