小児訪問リハ初学者のための講習会の考案 ~オンデマンド講義の効果と今後の課題~

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抄録

<p>【はじめに】</p> <p> 自宅で生活し、訪問看護を受ける小児利用者数は増加しており、訪問リハビリテーション (リハ)においても対象疾患は成人~小児まで広がりをみせている。さらに小児医療の進歩により、人工 呼吸器など濃厚な医療を必要とする医療的ケア児が増加している。しかし、卒前教育では小児疾患を学習する時間は限られており、 臨床で活用する知識や技術を十分に習得しているとはいえない。そこで我々は小児訪問リハ初学者のための講習会を考案・実施した。今回、講習会で実施したオンデマンド講義の効果と今後の課題について検討したので報告する。 <小児訪問リハ講習会> オンラインにて講義およびグループワークを2回実施、オンデマンドにて小児リハに関する講義動画を視聴学習する。 オンデマンド講義動画:テーマは、「発達と評価」、「疾患と 特徴」、「リスク管理」、「身体の扱い方とポジショニング」、 「呼吸と循環」、「摂食嚥下」、「補装具」、「コミュニケーションと遊び」、「連携」の9項目。小児リハ経験者が講師となり、1項目60分程度の動画を作成。動画はクラウド上で共有し、いつでもどこでも視聴可能とする。視聴期間は2ヶ月。 </p> <p>【方法】</p> <p> 受講者に、オンデマンド講義は十分に学習することができたかについて、そう思う、ややそう思う、あまりそう思わない、そう思わないの4段階で回答をもとめ、その理由について回答を例示し選択してもらった。また自由記載で講義に対する意見をもとめた。 </p> <p>【結果】</p> <p> 回答13名 (PT9、OT3、ST1)。訪問リハ経験年数は1年未満:1名、1年以上3年未満:8名、3年以上:4名。小児訪問リハ経験人数は0人:3名、1人:4名、3名以上:6人。医療的ケア児の経験人数は経管栄養の児:6名、酸素投与の児:4名、気管切開の児:4名、人工呼吸器の児:3名、全く経験なし:6名であった。オンデマンド講義は十分に学習することができたか:そう思う ;8名、ややそう思う;4名、あまりそう思わない;1名。回答 理由について、「講義の中に自分が知りたい内容があり、とても勉強になった」:11名、「講義の中に自分が苦手な内容や知らなかった内容があり、とても勉強になった」:10名、「講義の数が多く、幅広い内容を学習することができた」:5名。自由回答では、幅広い内容が学べたが、視聴時間や期間が短く十分に学べなかったという意見がみられた。 </p> <p>【考察】</p> <p> 小児リハ初学者に対して、オンデマンド講義は十分に学習がで きる内容であった。訪問リハ経験年数・小児経験人数が少ないセラピストにとって、小児リハを学ぶ一助となると考えられた。視聴時間や視聴期間など、より効果的な学習方法については更なる工夫が必要になると思われた。今回、講義内容を実際の臨床場面でどのように活用するかは、受講者自身に委ねている。臨床場面での課題解決のためには、長期的なフォローアップや小児訪問リハのクリニカルラダー等を検討していくことが必要である。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究は、ヘルシンキ宣言に基づき、所属機関 の倫理委員会の承認を得たうえで実施した。本研究参加者には、研究参加時に目的、方法を説明し、同意を得た。個人情報の保護について回答者が特定されないよう配慮した。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 91-91, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198840552576
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_91
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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