血球低値を呈する血液内科疾患に対して運動種目、運動強度を設定し新基準のもとリハ介入を行った症例の身体症状、有害事象等の調査検証

DOI

抄録

<p>【はじめに】</p><p> がんのリハビリテーション(以下リハ)における採血データ上の 中止基準は、WBC≦3,000/µL、Hb≦7.5g/dL、Plt≦20,000/µ Lとされている。しかし、厚生労働省の血液製剤使用指針では、血液内科疾患に対するRBC輸血、PC輸血はリハ中止基準以下においても輸血適応とされていない。これによりADLが低下する症例を少なからず経験する。本研究の目的はリハ中断例を少なくし、継続的なリハ介入を行うべく新たに設定したリハ介入基準の安全性、有用性の検証を行うことである。 </p><p>【方法】</p><p> 2022年6月から8月に市立函館病院血液内科に入院しリハ介入 を行った症例を調査。がんリハ中止基準値を下回り輸血基準値に満たない境界域(Hb値6.0~7.5g/dL、Plt値5,000~20,000/µ L)において医師に個々に状態を確認し最終的にリハ継続許可された症例をリハ介入緩和群としそれ以外を通常継続群とした。運動介入は自重運動や徒手抵抗運動、歩行等とし運動強度は Borg scale:13を最大とした。調査項目は疾患名、ADL状況、リハ介入回数、WBC・Hb・Plt値、身体症状として発熱・点状出血・嘔吐・下痢を調査。また運動介入に伴う有害事象を調査。比較検証はリハ介入緩和群と通常継続群の2群比較としリハ介入緩和群ではさらに2群に分けて比較検証を行ない、それぞれ WBC値1,500/µL以下と1,500~3,000/µL、Hb値7.0g/dL以下と7.0~7.5g/dL、Plt値10,000/µL以下と10,000~20,000/µLとした。統計解析はSPSS Ver.24を使用し有意水準は5%とした。 </p><p>【結果】</p><p> リハ介入緩和群47例、通常継続群21例であった。リハ介入許可回数は697回。リハ介入緩和群内の2群比較ではWBC値では発熱を1,500/µL以下に多く有意差を認めた。Plt値では 10,000/µL以下に点状出血が多く有意差を認めた。Hb値では 7.0~7.5g/dLに下痢が多く有意差を認めた。運動介入に伴う有害事象は認めなかった。 </p><p>【考察】</p><p> 血球低値症例に対して新基準群を設定し継続したリハ介入を行い、運動介入に起因する出血イベント、有害事象を認めなかった。フィジカルアセスメント、疾患特性を考慮した採血データ値の確認、医師との連携を図ることで継続したリハ介入が可能であることが示された。</p> <p>【倫理的配慮】</p><p>ヘルシンキ条約に則り個人情報の管理に配慮し、患者情報を診療録より抽出した。市立函館病院の倫理委員会の 承認を得て実施した。 (承認番号 迅2022-044)</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ