通いの場に参加する都市部高齢者の口腔機能低下の有無に影響を与える要因の検討

DOI
  • 松田 涼
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職 新さっぽろ脳神経外科病院 リハビリテーション科
  • 福嶋 篤
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職 公益社団法人北海道理学療法士会 事務局
  • 樫木 雅美
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職 北樹会病院 リハビリテーション科
  • 佐藤 佑樹
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職 社会福祉法人協立いつくしみの会 リハビリテーション部
  • 松岡 寛樹
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職 札幌西円山病院 理学療法科
  • 谷津 圭祐
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職 イムス札幌訪問看護ステーション リハビリテーション科
  • 渡邊 康介
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職 イムス札幌消化器中央総合病院 リハビリテーション科
  • 佐藤 佑太郎
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職 新さっぽろ脳神経外科病院 リハビリテーション科
  • 髙島 理沙
    北海道大学 大学院保健科学研究院
  • 澤村 大輔
    北海道大学 大学院保健科学研究院

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 札幌市では令和3年度より自立生活向上支援事業として、市内の通いの場に参加している高齢者の健康状態などのデータをもとにデータベースを構築し分析を実施している。昨年の同学会にて令和3年度の札幌市の通いの場に参加する高齢者は、口腔機能低下を有する人が多いことを報告した。本研究の目的は札幌市の通いの場に参加する高齢者の口腔機能低下を有する人の特徴を把握することとした。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は、令和4年3月9日から令和5年2月14日までの間に収集 されたデータより欠損値がなかった65歳以上の高齢者1845名とした。後期高齢者の質問票の口腔機能を評価するNo.4とNo.5のどちらか、もしくはどちらも「はい」と回答した人を低下群 (812名)、どちらも「いいえ」と回答した人を健常群 (1033名)に群分けした。調査項目は年齢、性別、BMI、要介護度の有無、指輪っかテスト、5回立ち座りテスト、5m最大歩行時間、TUG、握力、後期高齢者の質問票のNo.4とNo.5を除く各回答とした。統計解析は、健常群と低下群の調査項目の比較検討を2標本のt検定もしくはMann‒Whitney test、カイ二乗独立性検定を用 いて実施した。有意水準は5%とした。 </p><p>【結果】</p><p> 低下群において年齢 (p<0.01、効果量(r)=0.07)、要介護度の有無 (p=0.02)、5回立ち座りテスト (p<0.01、r=0.06)、5m最大歩行時間 (p<0.01、r=0.09)、TUG (p<0.01、r=0.08)で有意に高値、握力 (p<0.01、r=0.06)で有意に低値であった。後期高齢者の質問票では、No.1 (健康状態)で「ふつう」「あまりよくない」「よくない」、No.2 (心の健康状態)で「やや満足」 「やや不満」、No.6 (体重変化)で「はい」、No.7 (運動・転倒)で「はい」、No.8 (運動・転倒)で「はい」、No.10 (認知機能)で「はい」、No.11 (認知機能)で「はい」、No.14 (社会参加)で「いいえ」、No.15 (ソーシャルサポート)で「いいえ」の回答が有意に多かった。 </p><p>【考察】</p><p> 身体機能は効果量が低値であり両群で大きな差はなかった。し かし低下群で後期高齢者の質問票のネガティブな回答が有意に多かった。そのため口腔機能をはじめ多面的な取り組みを行い、さらなるフレイル状態の進行予防につなげていく必要がある。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った。取得したデータは連結不可能匿名化されており、データの利用については事業実施時に対象者より同意を得ている。また本発表については事業主体である市介護保険課の了承を得て実施している。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ