急性期リハビリテーションから一歩踏み出した地域連携促進の実践活動

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  • 一重 吉史
    帝京大学医学部附属病院 リハビリテーション部

抄録

<p>急性期リハビリテーションでは、救急医療の発展とともに救命後長期にわたりリハビリテーションが施行されるケースが増えています。また高齢化社会に伴い、介護が必要である虚弱な症例、基礎疾患を持もつ症例の入院も増えています。リハビリテーション開始前に全身の障害部位を整理し、多職種との連携により病態を理解、治療戦略を把握することが重要となります。二次的合併症を予防し、安全で確実な早期離床のための準備を行い、症例ごとに医師と相談して運動許容範囲を設定、リハビリテーションを施行します。 リハビリテーションは回復期や生活期へシームレスに継続され るべきであり、急性期を単独で考えるのではなく、回復期や生活期へのスタート部分にあたると位置づけるならば、急性期から生活の質 (Quality of life)や適切なゴールを見据えたリハビリ テーションアプローチが重要となります。今後、急性期および、生活期リハビリテーションの充実により、障害が軽度な症例は急性期病院から直接在宅復帰され、回復期リハビリテーションへの移行は、障害が中等度から重度の症例が多くなることが予想されます。急性期でいかに良いスタートを切り回復期、生活期に連携するかが、今以上に求められています。 当院リハビリテーション部・科では「一歩踏み出した地域連携促進の実践活動」として整形外科、循環器内科、心臓血管外科と協力し、運動機能低下の予防に向けた取り組みを行っています。 CRCN (Cardiac Rehabilitation Continuous Network):心臓リハビリテーション継続率向上を目的に首都圏急性期病院、回復期病院、介護保険施設、民間運動施設などの多種施設で地域連携ネットワーク (CRCN)を構築、一貫性のある心リハプログラムが継続できるよう施設間共有のサマリーを使用し取り組んでいます。 がんロコモ:がん自体あるいは「がん」の治療によって、運動 器の障害が起きて移動機能が低下した状態の症例は進行すると、日常生活が不自由になり、介護が必要になるリスクが高まるだけでなく、がんの治療自体にも影響します。当院では、リハビリテーションの処方があった入院がん患者の追跡調査を行い、運動機マネジメントに取り組んでいます。 脆弱性骨折:骨折は身体に及ぼす影響が大きく、健康寿命にも影響をもたらしうる傷病です。当院では、脆弱性骨折術後患者の追跡調査を行い、骨粗鬆症予防、再骨折予防に取り取り組んでいます。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本発表は、ヘルシンキ宣言に基づき、地域実践 活動として実際に行っているものを後方視的に報告するもので、個人情報を取り扱っておりません。</p>

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