地域在住高齢者における機能低下の重複数と健康関連QOLの関連

DOI
  • 河村 康平
    順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター リハビリテーション科
  • 國枝 洋太
    順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター リハビリテーション科
  • 小山 真吾
    順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター リハビリテーション科
  • 鈴木 瑞恵
    順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター リハビリテーション科
  • 高橋 裕馬
    順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター リハビリテーション科 順天堂大学大学院 医学研究科リハビリテーション医学
  • 松田 雅弘
    順天堂大学 保健医療学部理学療法学科
  • 森沢 知之
    順天堂大学 保健医療学部理学療法学科
  • 高橋 哲也
    順天堂大学 保健医療学部理学療法学科
  • 高倉 朋和
    順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター リハビリテーション科 順天堂大学大学院 医学研究科リハビリテーション医学
  • 藤原 俊之
    順天堂大学大学院 医学研究科リハビリテーション医学

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 地域在住高齢者における身体機能、認知機能、社会機能はそれぞれQuality of Life(QOL)との関連が示されている。しかし、機能低下の重複数がQOLに関連するのかは不明である。本研究の目的は地域在住高齢者における機能低下の重複数とQOLの関連を検討することである。 </p><p>【方法】</p><p> 研究デザインは横断研究である。対象の取り込み基準は東京都江東区と港区の高齢者福祉センターで開催された機能測定会に参加した65歳以上の高齢者で、除外基準は要介護1-5の認定者とした。調査測定項目は年齢、性別、併存疾患数、J-CHS基準、日本語版Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)、Social frailty screening index、SF-8とした。主要評価項目はSF-8の身体的サマリースコア(PCS)および精神的サマリースコア(MCS)とし、第1四分位以下を低QOLと定義した。また、本研究では身 体機能低下をJ-CHS基準で3点以上、認知機能低下をMoCA-Jで 25点以下、社会機能低下をSocial frailty screening indexで2点以上と定義し、これら3つの機能低下の重複数を調査した。統計学的解析はPCSとMCSを従属変数としたロジスティック回帰分析をそれぞれ実施し、独立変数は機能低下の重複数、調整変数は年齢、性別、併存疾患数とした。 </p><p>【結果】</p><p> 対象者は438名(平均年齢77.5±5.8歳、女性85.6%)であり、機能低下に該当しなかった者(非該当)は126名(28.8%)、1つの領域で機能低下を認めた者(1領域)は192名(43.8%)、2つの領域で機能低下を認めた者(2領域)は106名(24.2%)、3つの領域で機能低下を認めた者(3領域)は14名(3.2%)であった。ロジステ ィック回帰分析の結果、機能低下の非該当者と比べて、1領域、 2領域、3領域のPCSに対するオッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ0.95(0.54-1.67)、1.23(0.66-2.31)、6.20(1.67-23.1)であっ た。また、MCSに対するオッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ 1.57(0.88-2.81)、2.68(1.43-5.04)、3.41(1.01-11.56)であった。 </p><p>【考察】</p><p> 身体的側面を含むPCSでは3領域の重複、社会的側面を含む MCSでは2領域と3領域の重複が低QOLと関連した。社会機能の低下は身体機能や認知機能の低下を促進させると報告されているため、本研究では社会機能を含むMCSがPCSに先行して低下する可能性があると考えられた。 </p><p>【結論】</p><p> 地域在住高齢者における機能低下の重複数はPCSとMCSで異なる関連性を示し、PCSでは3領域の重複、MCSでは2領域と3領域の重複が低QOLと関連した。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は順天堂大学医学部医学系研究等倫理委員会の承認を得て実施した (承認番号 : G20-0016)。また、ヘルシンキ宣言に則り、対象者に研究の主旨を説明し同意を得た。</p>

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