当院における転倒転落アセスメントシートの予測精度
説明
<p>【はじめに、目的】</p><p> 転倒転落 (以下: 転倒)は患者のADL・QOL阻害および入院期間延長や入院費増加に繋がると報告されている。当院では日本看護協会が作成した転倒アセスメントシート (40項目)を活用し入院患者の転倒リスクを評価しているが,その予測精度は不明である。予測精度向上はより効果的な転倒予防対策と業務負担軽減に繋がると期待されるため,本研究ではその足掛かりとして転倒転落アセスメントシートの予測精度を検証する。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は2022年10月から12月に入院した患者の内,小児科患者を除外した1,916名とした。その内入院期間中の転倒の有無から転倒群68名,非転倒群1,848名に分け,情報を電子カルテと転倒アセスメントシートから後方視的に収集した。評価項目として年齢,性別,診療科,転倒危険度,転倒アセスメントシートの合計点数および各項目の該当率とした。統計解析として転倒患者の特徴を明らかにするために年齢に対応のあるt検定を,性別と診療科および各項目の該当率にχ2検定またはFisher検 定を行った。さらにアセスメントシートの妥当性を検討するために感度,特異度,陽性尤度比,陰性尤度比を算出した。 </p><p>【結果】</p><p> 転倒群は非転倒群に比べ有意に高齢(80歳vs71歳)であり,性別や診療科に有意差はなかった。転倒アセスメントシートの合計点数は有意に高く(14.4点vs9.9点),感度0.897,特異度0.480,陽性尤度比1.725,陰性尤度比0.214であった。各項目の該当 率において転倒群は非転倒群より「70歳以上」「過去に転倒」 「筋肉の低下」「ふらつき」「判断力・理解力・注意力の低下 」「トイレ介助が必要」「車いす・歩行器・杖を使用」「移動時介助」「ポータブルトイレ使用」「尿・便失禁」「発熱」の 11項目で有意に高かった。 </p><p>【考察】</p><p> 転倒群が高齢であることは先行研究を支持する結果であった。アセスメントツールとして望まれる感度・特異度は0.7以上,陽性尤度比は5~10以上,陰性尤度比は0.2未満であり,当院 は感度以外に改善の余地があると考えらる。また転倒群が高く該当した11項目については概ね先行研究を支持する結果であった。今後は該当率に差があった特徴を有する患者に注意するとともに,アセスメントシートの簡素化・精度向上を試みる予定である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究におけるデータの取り扱いには当院ルールに則り扱い,また当院の倫理委員会の承認を得て実施した ( 承認番号: 22-027)。</p>
収録刊行物
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- 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
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日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 2.Suppl.No.1 (0), 170-170, 2024-03-31
日本予防理学療法学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390018198840740096
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- ISSN
- 27587983
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可