介護予防・日常生活支援総合事業(訪問型短期集中予防サービス:訪問型サービスC)の利用を開始した地域在住高齢者を担当した経験

DOI
  • 渡邉 大貴
    筑波大学医学医療系 脳神経外科
  • 髙橋 由希子
    茨城県リハビリテーション専門職協会 地域包括ケア推進室
  • 飯島 弥生
    茨城県リハビリテーション専門職協会 地域包括ケア推進室

Abstract

<p>【はじめに】</p><p> 今回、介護予防・日常生活支援総合事業 (訪問型短期集中予防サービス:訪問型サービスC)を新規で利用することになった地域在住の高齢者を担当した。約3か月の集中的な関わりの中で身体機能に加え、転倒関連自己効力感や生活の満足度等が向上したので報告する。 </p><p>【症例紹介】</p><p> 症例は80歳代の男性 (要支援1)、既往に頸椎損傷 (C6-7)や右膝 捻挫があるがADLは全自立 (奥さんと2人暮らし)、朝の散歩やラジオ体操が日課であった。車の運転を辞めたことやコロナ禍も影響し、外出頻度が少なくなっていた。主訴や意向としては、 「時折ふらつくことがあり、転倒が怖い」、「体力の衰えを感じる」、「自分に合う運動の方法を教えてもらいたい」であった。開始時はSPPB:5点、TUG:17秒17、転倒関連自己効力感 (FES-I):45点、COPM:遂行度3.0、満足度2.8であった。 </p><p>【経過】</p><p> 本事業終了時に達成したいことや目標を本人・家族と共有した。 「立位時や体操時のふらつきを減らしたい」、「転倒せずに安心で安全な生活を送りたい」、「長期的にはゴルフを少しでもしたい」であった。本人の身体機能に合った自主練習や各種動作指導 (例:階段昇降では膝折れが認められたため、2足1段への変更を提案した)を行った。終了時はSPPB:10点、TUG:12秒33、FES-I:42点、COPM:遂行度7.0、満足度6.2、日本語版Decision Regret Scale:5点であり、身体機能・歩行能力向上に加え、転倒関連自己効力感の向上、生活に関わる項目で高い満足感が得られた。本事業終了時には担当者会議 (ケアマネ、市職員、理学療法士、リハ専門職協会担当者が出席)を行い、本事業の成果や今後の課題等について整理した。運動施設 (ジム)の利用、シルバーリハビリ体操教室、通所・訪問リハビリテーション等を提案した。 </p><p>【考察】</p><p> 訪問型サービスCの利用希望があった地域在住の高齢者に対して理学療法士として約3か月の集中的な関わりを行うことで身体機能に加え、転倒関連自己効力感や生活の満足度等が向上した。これらは理学療法士による各種評価に加え、本人の身体機能に合った自主練習の提案、動作指導等の実施により、下肢機能や歩行能力の改善、生活の満足度向上に寄与したと考える。訪問型サービスCの成果を検討するためには、今回のような定期的かつ客観的な評価指標を導入し、その変化を分かりやすく本人・家族や多職種等へ説明することが重要である可能性がある。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本発表の内容に関して事前に対象者本人に口頭にて説明を行い、同意を得ている。</p>

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