日本人若年者における運動の頻度、強度の違いとパートナーを伴う運動習慣は、便秘と負の関連にある

DOI
  • 渡部 潤一
    山形県立保健医療大学 保健医療学部 理学療法学科
  • 古川 慎哉
    愛媛大学 総合健康センター
  • 山本 安則
    愛媛大学大学院 医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学
  • 日浅 陽一
    愛媛大学大学院 医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>身体活動の増加は、便秘の予防として伝統的に推奨されてきた。しかし、運動量と便秘の関連性についてはこれまで結論が出ておらず、便秘の治療において日常的な身体運動を増やすことの有益性はエビデンスに乏しい。そこで本研究では若年者において運動習慣と便秘との関連について検討することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p>平成27年~29年度に愛媛大学の大学生を対象に実施した健康診断に参加した男女のうちデータ欠損がなかった学生 12,523名を対象とした。健康診断時、便秘と身体活動に関連する質問票を全対象者に送付した。身体活動については1)運動頻度 ①なし、②月に1~2回、③週に1~3回、④週に4回以上 2)運動強度 ①軽い運動 ②中程度の運動③激しい運動3)運動のパートナー ①グループと、②友人と、③一人でといった評価とした。便秘に関してはREACTION-Jの報告に準拠して 自記式質問票を用い、"最近よく便秘になったことがありますか?"という質問に "はい "と答えた場合、便秘であると定義した。運動習慣と便秘との関連について、年齢、性別、BMI、飲酒、喫煙、貧血等、スポーツ障害を調整した多変量調整ロジスティックモデルを用いて分析した。 </p><p>【結果】</p><p>本研究における便秘の有病率は6.5%であった。運動頻度のオッズ比は、まったく運動をしていない集団①に比較して、②0.77 (95%信頼区間:0.63‒0.94)、③0.75 (0.60‒ 0.94)、④0.70 (0.53‒0.91)と、それぞれ負の関連を認めた (傾向性p<0.002)。また運動強度のオッズ比においても、まったく運動をしていない集団に比較して①0.77 (0.62‒0.97)、③ 0.77 (0.63‒0.95)、④0.68 (0.53‒0.87)とそれぞれ負の関連を 認めた (傾向性p<0.002)。グループまたは友人との運動は、 0.70 (0.53‒0.90)、0.56 (0.42‒0.74)と独立して便秘と負の関 連を示したが、一人での運動では便秘との関連は有意ではなかった。 </p><p>【考察】</p><p>運動は腸内ガスの排出を促進し、腸内ガスクリアランスを高め、炎症性サイトカインを抑制することで、便秘の有病率を改善する可能性がある。身体活動が腸の動きを促進させたことが今回の結果に影響を及ぼしたと思われる。 </p><p>【結論】</p><p>本研究の結果、運動頻度とその強度は、便秘の関連が認められた。また人数に関しては運動を単独で実施するよりも集団でおこなうことの方が、便秘の予防には有用性が認められるかもしれない。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>各種検査の施行にあたっては、その主旨、目的を説明の上、対象者から書面及び口頭にて同意を得た。各種データの使用にあたっては愛媛大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認を得て実施した (承認番号:1610012)。</p>

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