サルコペニアを有する骨関節疾患患者の退院後サービスの検討

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 回復期リハビリテーション病棟(回復期リハ)のサルコペニアの有病割合は地域高齢者や急性期病棟と比較して50~55%と明らかに高く、退院時の日常生活動作や嚥下機能が低下すると報告されている。そのため退院後に身体機能が低下しないように利用できる医療ケアや介護サービスを調整し、地域で継続的にサポートできるようにすることは重要である。そこで今回、回復期リハの骨関節疾患患者において、サルコペニアが退院後の医療・介護サービス利用に影響するか検討する。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は2022年4月から2023年1月に当院に入院し、退院後も医療・介護サービスを利用した骨関節疾患患者143名とし、カル テを後方視的に分析した。退院後に利用した医療・介護サービスの調査は外来リハビリテーション、訪問リハビリテーション、訪問看護、デイケア・デイサービスとした。サルコペニアは AWGS2019の診断基準を用い、退院時に骨格筋量の減少、筋力・身体機能の低下が認められた場合にサルコペニア有りと判定した。主要アウトカムはサルコペニアを用い、交絡因子を調整するために年齢、性別、併存症に関して傾向スコア (propensity Score:PS)を用いて疑似ランダム化を行った。PSマッチング後に退院後の医療・介護サービス利用に関してサルコペニアの有無で群間比較を行った。 </p><p>【結果】</p><p> 傾向スコア法では、サルコペニア群 (SA群)と非サルコペニア群 (NSA群)ではそれぞれ39名がマッチングされた。傾向スコアマッチング後における両群間の比較 (SA群、NSA群)では、訪問リハビリテーション (35.9%、25.6%)、外来リハビリテーション (30.8%、33.3%)、訪問看護 (5.1%、5.1%)、デイケア・デイサービス (28.2%、35.9%)で有意差は認められなかった。 </p><p>【結論】</p><p> 回復期リハのサルコペニアを有する骨関節疾患患者において退 院後の医療・介護サービス利用に影響はなかった。今後さらに患者背景、他施設などを含めた検討を行っていきたいと考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究に関して当院倫理審査委員会より承認を得た(承認番号: 2022-06)</p>

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