Modified Prone Press Up Testの脊柱伸展可動性評価指標としての妥当性の検討

DOI
  • 竹内 光
    医療法人社団 山樹会 平山医院 リハビリテーション部門
  • 佐藤 嶺
    社会医療法人 仁生会 西堀病院 リハビリテーション課
  • 藤田 亮介
    医療法人社団 山樹会 平山医院 リハビリテーション部門
  • 中島 和哉
    医療法人社団 山樹会 平山医院 リハビリテーション部門
  • 村上 正和
    日本医療大学 保健医療学部 リハビリテーション学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 加齢に伴い脊柱の伸展可動性は狭小化する.その原因には骨粗鬆症に起因する脊椎の変形や腰背部筋の筋力低下などがあり,可動性が低下することでバランスや歩行能力が低下するとされている.そのため,伸展可動性の低下を予防することは介護予防の観点で重要である.伸展可動性の評価指標として胸椎では Ott’s Test(OTT),腰椎ではModified Modified Schober test(MMST)があるが,これらの検査は上半身を露出しなくてはならないため,介護予防事業で実施するには制限がある.そこで腹臥位から上肢で床を押し,体幹を伸展するProne Press Up Test(PPUT)に着目した.しかし,この方法では胸椎と腰椎に分離して可動性を評価することが出来ず,治療に結び付けることは難しい.また,脊柱アライメントのうち,高齢者の転倒には胸椎後弯角が影響するとされていることから,今回我々は,胸椎の伸展可動性の評価となりえる方法としてPPUTを一部改変する方法Modified-PPUT (MPPUT)を考案した.本研究の目的は健常者を対象に脊柱伸展可動性の評価指標としてのMPPUTの妥当性を検討することである. </p><p>【方法】</p><p> 対象は健常成人男性41名(平均年齢30.1±7.8歳)とした.MPPUTはPuppy肢位にて上肢の力を使わずに体幹を伸展し,床面から胸骨頚切痕までの距離を計測した.OTTとMMSTを計測し得られたデータの正規性をShapiro-Wilk検定で確認後,MPPUTと OTT,MMSTの相関関係をPearsonの積率相関係数を用いて確認した.危険率5%未満を有意とし,統計解析にはSPSS ver26を使用した. </p><p>【結果】</p><p> 平均値はMPPUT:29.9cm±2.6,OTT:2.8±0.5,MMST: 1.8±0.8であった.MPPUTとOTT,MMSTの相関係数(r)および有意確率(P)は,OTT(r=.65,P<.05),MMST(r=.05,P=.76)で あった. </p><p>【考察】</p><p> 本結果からMPPUTは主に胸椎の可動性を示す検査ということが示唆された.胸椎伸展可動性の低下は転倒のみならず,下位腰椎の過剰伸展による椎間関節性腰痛や腰部脊柱管狭窄症の要因となる. 転倒による骨折や腰部変性疾患は要介護の原因となるため,それらを予防することは大変重要である.MPPUTにて介護予防事業で簡便に胸椎伸展可動性を数値化できることは介護予防の推進に繋がると考える. </p><p>【結論】</p><p> MPPUTは胸椎伸展可動性の評価指標として簡便で有用な検査であることが示唆された. </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究はヘルシンキ宣言に基づき,研究目的,方法,参加は自由意志で拒否による不利益はないこと,及び,個人情報の保護について,文書と口頭で説明を行い,書面にて同意を得た.</p>

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