通所型短期集中予防サービス利用者の新たな社会参加獲得に関する検討

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 東京都八王子市は自立支援・重度化防止に重点をおいた通所型短期集中予防サービス (通所C)に取り組んでいる。通所Cの最終目標は積極的な社会参加だが、参加者の新たな社会参加の獲得に関する報告はない。本研究は通所Cでの新たな社会参加について、身体・精神機能やIADL、QOL、社会的役割など多面的な側面から明らかにすることを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は、2021年度と2022年度に当通所Cを利用した36人のうち、開始時に社会参加が全くなかった27人 (年齢:81.0±6.9歳、男性:13人、女性:14人)とした。評価は、身体機能評価 (握力、5m最大歩行時間 (5m歩行)、Timed Up and Go (TUG)、 Chair stand 30 (CS30))と質問紙評価 (Geriatric depression scale 、老研式活動能力指標、EQ-5D、幸福度、社会的自立支援アウトカム尺度)で、開始時と終了時に実施した。統計学的検討は、終了時に新たに社会参加を獲得できた群とできなかった群で、χ2検定とMann-Whitneyの検定を行った。有意水準は5%未満とした。 </p><p>【結果】</p><p> 獲得群11人 (男性:2人、女性:9人)、非獲得群16人 (男性: 11人、女性5人)で性に有意な関連を認めた (p=0.01)。身体機能は、開始時に5m歩行 (p=0.014)、TUG (p=0.018)、CS30 (p=0.022)に有意差を認めたが、終了時は5m歩行 (p=0.045)のみ有意差を認め、獲得群3.6±0.2[sec]、非獲得群4.0±0.2[sec]であった。質問紙評価は、開始時に老研式活動能力指標 (p=0.033)と幸福度 (p=0.039)に有意差を認めたが、終了時は老研式活動能力指標 (p=0.02)のみ有意差を認め、獲得群12.0点 (10.0-13.0)、非獲得群9.0点 (5.25-9.75)であった。 </p><p>【考察】</p><p> 5m歩行は、横断歩道など屋外で安全な移動に必要な条件であるために有意差を認めたと考える。老健式活動能力指標は、獲得群において下位項目の社会的役割が高値な傾向を示し、他者との能動的な関わりが増えると社会参加に繋がる可能性が示唆された。本研究から通所Cの利用者が新たに社会参加を獲得するために、歩行能力の向上と他者と能動的な関わりを持てるようなコーチングがプログラムとして有効と考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>研究の実施にあたり、個人情報の取り扱いには十分に配慮し、研究参加への同意についてはオプトアウトを用いた。また、本研究は医療法人社団永生会倫理委員会の承諾を得て行った。(承認番号:E-2022-13-1)。</p>

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