ICTを活用した遠隔支援により、デイサービスにおける自立支援の機能強化を目指した取り組み

DOI
  • 中瀬 咲子
    あけぼの診療所 理学療法士
  • 安齋 紗保理
    城西国際大学 福祉総合学部理学療法学科
  • 山中 信
    東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター
  • 植田 拓也
    東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター
  • 新井 武志
    目白大学 保健医療学部理学療法学科
  • 柴 喜崇
    福島県立医科大学 保健科学部理学療法学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 近年、要介護者の自立支援が重要課題となっている。我々は、リハビリテーション専門職 (以下、リハ専門職)の遠隔支援により、デイサービス事業所の自立支援の機能強化を目指す取り組みを実施している。本報告では、本取り組みの課題と展望について報告する。 </p><p>【方法】</p><p> 神奈川県内の1日型デイサービス1か所をを対象とし、利用者評価 (以下、評価)、遠隔支援、遠隔支援に基づくケアの実施の流れで取り組みを実施した。評価は、心身機能、生活機能、目標などを初回、3か月後、6か月後の3時点で職員が実施した。評価に際し、リハ専門職による職員に対する評価方法練習会を開催し、評価の質を担保した。遠隔支援は、評価結果のクラウド上でのフィードバック (遠隔支援①)とweb会議におけるリハ専門職とデイサービス職員 (以下、職員)でのフィードバック (遠隔支援②)の2つを実施した。遠隔支援②は月2回の頻度で1名につき 15~30分程度実施した。本取り組みはJSPS科研費22K01950の助成を受け実施した。 </p><p>【結果】</p><p> 計11か月間取り組みを実施し、22名の初回評価を行い、17名が最終評価に至った。遠隔支援①を職員が自主的に利用している様子はなかった。遠隔支援②では、介入当初はリハ専門職が会議中に口頭でフィードバックを行うのみであったが、職員からの意見も踏まえ、会議中に助言した運動方法やデイサービスでのケアの視点などを記載した用紙を作成し、クラウド上で職員と共有した。また、目標設定が評価結果を受けて妥当であるか、本人の意向を反映しているかなどを確認した。 </p><p>【考察】</p><p> 遠隔支援は、職員の実施した評価結果を基に議論するため、リハ専門職が利用者を直接評価する機会はなく、紙面での評価結果と職員への口頭での追加情報確認という間接的な評価であったため、特に初回においては評価結果の確認と解釈に時間を要した。また、職員は体力測定などの量的評価に慣れていないために、解釈困難な結果も見られ、定期的な評価方法の教授と確認が必要であると考えた。また、初回では評価の目標が空欄であり、目標設定ができていないことが多く、運動機能に関する目標が目立った。しかし、回を重ねるごとに空欄が減り、目標の内容も利用者本人の意向を踏まえた生活機能に焦点化されるなど、目標設定に変化がみられた。 </p><p>【結論】</p><p> 本取り組みはデイサービスにおける自立支援強化の取り組みとしての意義があると感じた。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本取り組みは、研究代表者の所属機関の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した (承認番号;一般2021-208)。本事業への参加にあたり、本人または家族へ事業の説明を行い、書面において同意を得られた。</p>

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