介護予防リーダー養成講座10年間の実践報告

DOI
  • 関口 晴子
    東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者健康増進事業支援室
  • 河合 恒
    東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者健康増進事業支援室
  • 江尻 愛美
    東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者健康増進事業支援室
  • 大渕 修一
    東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者健康増進事業支援室

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>介護予防は住民が主体となり、高齢者が地域の中に生きがいや役割をもち生活出来る様な居場所と出番作りが重要である。我々は東京都A市と協働で、地域の特性を考え介護予防活動ができる介護予防リーダーの養成講座 (以下講座)を毎年実施し10年が経過した。今後も継続して介護予防リーダーの活躍が広がるよう、講座の内容と運営方法について報告する。 </p><p>【方法】</p><p>講座は約5か月間、講義8回、演習4回、論文発表と修了式の全13回行われる。受講生の募集から修了までの、講座に携わるスタッフの役割とカリキュラムを整理した。また、 2013年度から2022年度までの受講生185人に対し、講座実施前後でアンケート調査を行い、介護予防の理解度と活動を実践する自信度を比較した。 </p><p>【結果】</p><p>受講生の募集と講座の会場設営はA市が担当し、講座の進行管理、コーディネーター、講師は研究所が担当した。募集は広報誌による周知と介護予防リーダー等による呼びかけとした。コーディネーターは講座の司会、及び講師と受講生を繋ぐ役割を担った。カリキュラムは、専門家による介護予防の知識の学習、受講生自身が行う地域調査、A市による介護予防の現状の説明、グループワークでの地域の課題の抽出と解決への発案、自主グループへの体験実習、具体的な活動計画の作成と発表で構成されている。また、自己学習ができるワークブックを作成し活用した。活動計画の作成はコーディネーター等が個別に対応し、講座修了後の行動が明確になるようにアドバイスを行った。アンケート結果は全ての項目において統計的に有意に向上していた。 </p><p>【考察】</p><p>講座のカリキュラムと運営方法は開始当初より変えていないが、内容はA市の現状と介護予防の制度改正に合わせて一部変更してきた。状勢に合わせてA市と協議しながら実施してきたことで講座を10年間継続できたと考える。またアンケート結果で講座の理解度と自信度が向上したことから、講座のカリキュラムをステップごとに積み重ねることにより介護予防の必要性と実践方法が理解され、体験実習により活動する自信に繋がったと考える。 </p><p>【結論】</p><p>今後も介護予防リーダーの活躍が広がる為には、介護予防リーダーの役割を理解し、自ら考え行動できる人材を市と専門家が協働で養成していくことが有用だと考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>対象者に対して、データの使用目的について説明をし、書面にて同意を得ている。</p>

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