地域ケア会議から抽出した課題~地域高齢者の外出支援に対する活動報告

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  • 小田 眞知子
    医療法人横浜平成会 平成横浜病院 リハビリテーション部

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 神奈川県横浜市は、郊外部・都心部・臨海部など多様性に富む 18の行政区で成っている。横浜市郊外部にある泉区(人口 151196人・高齢化率28.8%)での地域ケア会議で出された「高齢者の外出困難」という地域課題から、理学療法士(以下PT)として『和泉中央お出かけプロジェクト』の立ち上げに参加し、地域住民・行政等と関わる経験をしたので報告する。 </p><p>【活動内容と経過】</p><p> 泉区内の7か所の地域ケアプラザ(以下CP)の内の1つ、いずみ中央CPエリアは、住民主体の地域福祉活動が活発で、区内でも先駆的な取組を持つ地域である。2019年1月、CP主催の地域ケ ア会議において、「独居高齢者や認知症高齢者の外出困難」という地域課題が上がった。そこで、生活支援コーディネーターが中心となり、同年3月「和泉中央お出かけプロジェクト」を発足させた。関りとしては、月1回の会議の参加、基本ルールの作成や企画立案、「お出かけサポーター養成講座」等の講師などを専門職としての視点を交えて行った。また、総合学習でプロジェクトに参加している地元小学校4年生の授業にも出向き「質問に答える」という体験もした。同年6月「キックオフイベント~和泉中央を歩こう」、同年10月11月「高齢者お出かけサポーター養成講座」を開催し、サポーター育成の推進を図った。 </p><p>【アンケート】</p><p> キックオフイベント参加者9名、養成講座参加者10名に①講座の満足度②地域活動・趣味活動の有無③サポーター活動への興味のアンケート調査を実施。 </p><p>【結果】</p><p> ①満足度:両講座とも大変満足40%・満足60%、②地域活動 ・趣味活動の有無:100%がボランティアや町内会活動経験者で、健康体操や散歩を趣味にしていた。③講習会後、7名のサポーター登録があり、サポーター発掘において一定の効果を確認した。 </p><p>【おわりに】</p><p> 順調であったプロジェクトも、コロナ蔓延による地域活動の停止・自粛が余儀なくされ、活動再開は2021年5月。当初の目標であった「サポーター育成」は「外出機会の創生」に変化し、 「秋の散歩~健康遊具を試す」「春の散歩~正しい歩き方を学ぶ」など、介護予防的な要素が強くなった。この1年で、地域活動も再開されているが、地域による活動の幅や生活様式も変化する中、新たな地域課題も生じていると思われ、PTの専門性を活かしながら、引き続き、地域のニーズや資源を把握し、介護予防や地域ぐるみの体制づくりの支援にも寄与していきたいと考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>主催者・参加者にはアンケート結果、意見を学会発表等に用いることを口頭にて説明し、同意を得た。</p>

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