地域在住高齢者における足部痛による活動制限の疫学研究:系統的レビュー

DOI
  • 仲 貴子
    帝京平成大学 健康医療スポーツ学部リハビリテーション学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>足部痛と足部痛を原因とする活動制限 (Disabling Foot Pain;以下DFP)の統合された推計有病率の報告は極めて少ない。本研究は、地域在住高齢者を対象としたDFPの疫学研究の系統的レビューを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p>資料はPubMed、CINAHL、Cochran、PEDro、医中誌 webを用い、2022年11月以前の文献を検索した。検索語は foot/feet problem or foot/feet pain (足部障害or足部痛) and Disability (活動制限)で、これにaged (高齢者)、epidemiology ( 疫学)、population (住民)、incidence (発生率)、prevalence (有病率)を組み合わせた。検索した文献のうち、英語もしくは日本語、、対象が地域在住高齢者、横断研究、足部痛もしくは DFPの推計有症率を報告していること、の条件を満たす文献を抽出し、研究の場所、データ収集年、標本抽出、足部痛の定義、足部痛の推計有病率、DFPの定義、DFPの推計有病率のデータを抽出した。 </p><p>【結果】</p><p>データベース検索で4,806編を抽出し、表題・要約レビューにより189編を抽出した。これらの参考文献を随意検索して48論文を抽出した。このうち組み込み基準を満たしたのは 24編であった。研究全体で36,541人の対象者による推定有症率が得られた。24件の調査の回収率中央値は60.1% (IQR 41.8 ‒80.8)であった。random‒effects modelを用いて算出した足 部痛全体の有症率は24% (95%CI 22%-25%) (I2= 46%、p = 0.155)であった。DFPに関する文献のうち、Manchester Foot Pain & Disability Index (MFPDI)を使用した4編の推計有病率は 12% (95%CI 4%-31%)であった。足部痛の関連因子では男性の非感染性疾患、女性の四趾変形と母趾背屈可動域制限が、DFPの関連因子ではIADL障害、転倒歴が抽出された。 </p><p>【考察】</p><p>足部痛の推計有病率は高齢者人口のおよそ4分の1で、著者らの先行研究と概ね近似していた。DFPの推計有病率は8分の1程度であったが、日常生活活動への影響については不明であった。足部痛関連因子の性差は、足部以外の筋骨格痛が女性に多いことを反映しており、また男性の非感染性疾患と足部痛の関係は他の筋骨格痛にはない特徴を示した。一方、足部痛定義の一貫性の観点から多くの質の高い論文を除外せざるをえなかったことから、この研究分野における足部痛定義の標準化が望まれる。さらにDFPの定義にはMFPDI以外の方法がなく、足部痛が日常生活に及ぼす影響を計測するためのより短い尺度開発が望まれる。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究はヒトを対象としない文献研究であり、著作権を遵守し実施した。また発表時に各文献の出典を明らかにする。</p>

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