福祉用具の活用は介護予防(自立支援)の即効薬

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  • 望月 彬也
    有限会社望月彬也リハデザイン 代表取締役社長 (公財)東京都福祉保健財団 人材対策室 東京都福祉サービス第三評価 評価者 日本リハビリテーション専門学校 理学療法学科

抄録

<p>【目的】</p><p>介護予防の理念は高齢者等が日々の暮らしを自立し、最期まで活き活きとした生活を持続することである。介護予防には①心身の状態を整える②日々の暮しを自立する③自分が望むことをする3段階がある。わが国は人生100年時代を迎え、近未来には人口の半数が65歳以上となり高齢者が急増する。これは「高齢社会」先進国の日本だけでなく世界的な課題になりつつある。ほとんどの理学療法士が病院等の医療関連に従事しているが、介護予防等地域支援にももっと関心を向けていただきたい。高齢者の自立支援は残存機能の最大限活用にある。理学療法士の動作・歩行分析に基づく身体機能評価から適切な福祉用具の選択で今まで不可能だったことが、使用時点から出来るようになることもある。福祉用具の活用は努力目標がよく理解でき、動機付けの助けになり自立支援に役立つ。 </p><p>【方法】</p><p>台東区在住の一人暮らし男性の個別訪問指導事例で検 証する。自宅は4階建て鉄骨造り。日々の暮しを自立するため 4階まで昇りたい。相談は本人来られず、社会福祉士評価では詳細な身体状況等はなく危険度を考えるとノー。本人の強い希望で自宅訪問し、身体状況等理学療法的評価では結果はイエス。既存の福祉用具では対応不可能のため直ちにオーダーメイド階段昇降補助具を創る。高齢者の身体状況等は変化しやすいため、間を置かずにすぐに対応することが大切である。 </p><p>【結果】</p><p>オーダーメイド階段昇降補助具を使用し1年半ぶりに階段昇降自立。去年台風で自宅付近の荒川が氾濫しかかった。この付近の水位は自宅一階より高く、もし氾濫すれば確実に水死する。昇降補助具で直ちに2階に避難。2階まで水が来たら 3階と自分の判断で出来る。 </p><p>【考察】</p><p>福祉事務所で日々の暮しを自立のため2階まで昇りたいと相談したところ1階での生活が安全と言われたので専門家の派遣を要請したとのこと。水害や地震など避難時の対応は想定外のことが起こりやすく、介護者を当てにするのは危険である。適切な福祉用具の活用は介護予防(自立支援)の即効薬であるが、誤使用はもっと危険なので理学療法士など専門家の助言が必要である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>研究対象にとって不利益となるような属性 (人名、施設名等)を記載しない</p>

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