東京都足立区在住高齢者における活動量調査ならびに同居家族の有無に関連する生活機能の調査について

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>本学がある東京都足立区は、65歳以上の高齢化比率24.8%(令和2年)であり、東京23区で1位の高齢化率という状況である。行政を中心に様々な取り組みもなされているが、十分とは言えない状況である。今回は、本学における介護予防事業の事前調査として、足立区地域在住高齢者の状況把握をするため、活動量に関わる要因と独居高齢者の傾向を把握することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p>足立区地域包括ケア推進課と本学近隣2個所の地域包括支援センターの協力のもと、「はじめてのフレイル予防教室 」などの5つの高齢者グループで研究の募集を行った。調査項目は基本情報(性別・年齢・身長・体重・同居家族の有無)、筋力(握力・膝伸展筋力)、5m歩行速度(快適・速歩)、バランス能力(Timed Up and Go test・開眼片足立位時間)、平均歩数 (OMRON社製Calori scan HJA-404使用)、Falls Efficacy Scale(FES)、Gait Efficay Scale(GES)、Life Space Assessment(LSA)、European Health Literacy Survey Questionnaire(HLS-EU-Q47)、Lubben Social Network Scale(LSNS-6)、老年期うつ病評価尺度(GDS15)とした。膝伸展筋力は、Hand-held Dynamometer(アニマ社製)を使用した。筋力は左右の平均値を使用した。平均歩数は、7日分のデータから、1日の平均の歩数を算出した。7日分のデータが測定できていない場合は、測定できたデータから1日平均を算出した。統計解析は、平均歩数に対して他の項目との相関関係を Spearmanの順位相関係数、同居家族の有無の2群間の比較は、 t検定とMann-WhitneyのU検定を用いた。 </p><p>【結果】</p><p>参加者は27人(男性10人女性17人, 81.2±4.9歳,独居者 8人)、平均歩数は3960.2±3211.2歩であった。平均歩数は、 GDS15(r=-0.525)とのみ有意な相関が認められた。同居家族の有無では、男性独居者が1名だったため、女性のみ(独居7人,同居10人)で比較をしたところ、HLS-EU-Q47、LSNS-6、FESにおいて有意な差が認められた(p<0.05)。 </p><p>【考察】</p><p>平均歩数とGDS15において負の相関が認められたことについては、歩数と老年期うつ状態との関連がある可能性を示すことができた。また、独居高齢者においては、健康リテラシーが低く、転倒恐怖感も高く、社会的に孤立傾向にあるということが示された。独居高齢者は同居家族有高齢者に対し、様々な問題が生じる可能性も示され、足立区において独居高齢者に対しての関わりが重要となってくると考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、帝京科学大学研究倫理審査委員会にて承認された(承認番号21A030)。研究に関する十分な説明をし、文書により同意を得られた者を対象とした。</p>

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