介護予防教室自粛期間中のフレイル状態の比較 Fried frailty phenotype questionnaireを用いた検討

DOI
  • 鬼木 貴也
    医療法人 相生会 新吉塚病院 リハビリテーション科
  • 飛永 有美子
    医療法人 相生会 新吉塚病院 リハビリテーション科
  • 永嶋 広大
    医療法人 相生会 新吉塚病院 リハビリテーション科
  • 岡本 萌花
    医療法人 相生会 新吉塚病院 リハビリテーション科
  • 吉田 純一
    医療法人 相生会 新吉塚病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに】</p><p> 近年ではコロナ禍における自粛期間長期化における健康二次被害(フレイル状態の悪化)が問題となっている.当院では介護予防教室を実施し,自己申告のフレイルチェックシートFried frailty phenotype questionnaire (以下:FFPQ)を使用して,地域高齢者が長期にわたって介護予防に取り組める地域醸成を目指している.今回,新型コロナウイルスの影響により介護予防教室活動自粛期間の影響が地域高齢者のフレイル状態にどのような影響を与えているのか調査を行った. </p><p>【方法】</p><p> 対象は介護予防教室に参加している地域在住高齢者14名のうち介護予防教室自粛前令和2年1月(以下:pre群)と介護予防教室自粛解除後令和4年11月(以下:post群)の両日に参加された13名(年齢76.8±4.3歳)とした. フレイル評価にはFFPQを使用した .FFPQは1項目1点の配点を持つ5項目で構成され,3点以上でフレイル1‐2点でプレフレイル,0点でロバストとされる. 評価結果をMcNemar検定にてpre群とpost群の前後比較を行った. 統計処理にはR 4.2.2を用いた. </p><p>【結果】</p><p> FFPQの結果においては, 両群でフレイルに該当する高齢者はいなかった.pre群はロバスト4人プレフレイル9人で(有症率: 69.2%)post群はロバスト5人プレフレイル8人(有症率:61.5%)となったが,ロバストとプレフレイルの割合に有意差はなかった.項目別でみるとpre群は「階段を手すりや壁を伝わらずに昇れない」(46%)と回答した高齢者が一番多く,次いで「1日のうち,座っているまたは横になっている時間は,起きている時間の80 %以上である」(23%)と回答した高齢者が多かった.post群は「階段を手すりや壁を伝わらずに昇れない」(46%)と回答した高齢者が一番多く,次いで「1㎞ぐらいの距離を続けて歩くことができない」,「何をするにも骨折りだ」(23%)と回答した高齢者が多かった. </p><p>【考察】</p><p> 介護予防教室に参加している地域高齢者は介護予防教室自粛期間中も活動量の大きな低下がなく,フレイルの有意な増悪はなかった. その要因として,今回の対象は介護予防教室に参加されている高齢者であるため,社会活動に意欲的かつ比較的健康に関心が高いことが考えられる.しかし,全体的にプレフレイルに該当する高齢者の割合が高く,今後も健康支援を継続していく必要があることが示唆された.今回の研究限界として対象者が少ないことが挙げられるが,今後の当院でのフレイル予防への取り組みの一助としていきたい. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は新吉塚病院倫理委員会の承認を受け,対象者に対して研究内容を口頭および書面にて十分説明し同意を得て実施した.</p>

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