高齢者のBMIと身体活動量および運動の実施状況との関係-「スポーツ・ライフデータ2022」の二次分析-

DOI
  • 大武 聖
    国際医療福祉大学 小田原保健医療学部理学療法学科
  • 齋藤 孝義
    国際医療福祉大学 小田原保健医療学部理学療法学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 発表者は2021年に笹川スポーツ財団の実施したスポーツ・ライフデータ2020のデータを用いて高齢者のBMIと身体活動量および運動の実施状況との関係を調査し、BMI 18.5未満の高齢者群は身体活動量が有意に低く、推奨身体活動量の充足者の割合、およびウォーキングと筋力トレーニングを実施する者の割合が有意に低値であることを報告した。しかしこのデータは新型コロナウィルスの感染拡大による緊急事態宣言中に行われた調査のものであり、明らかとなった結果が新型コロナウィルス感染拡大による一時的なものなのかどうかを明らかにすることは活動量の低下も発症要因の一つであるサルコペニアの予防のために重要であると考えた。 本研究の目的は新型コロナウィルス感染拡大後の高齢者のBMIと身体活動量および運動の実施状況との関係を明らかにすることである。 </p><p>【方法】</p><p> 本研究は笹川スポーツ財団の実施した「スポーツ・ライフデータ2022」のデータの二次分析として、同調査参加者のうち65歳であった784名を対象に実施した (男性373名、女性411名、平均年齢71.7±4.2歳)。調査項目は基本属性、週1回以上のウォーキング、筋力トレーニングの実施状況、身体活動量と推奨身体活動量の充足状況とし、対象者をBMI低値群 (BMI<18.5)とBMI高値群 (BMI≧18.5)に分類して、マンホイットニーのU検定、もしくはカイ二乗検定を用いて群間の比較を行った。 </p><p>【結果】</p><p> 身体活動量は両群間に有意差を認めなかった。週1回以上のウォーキング、筋力トレーニングの実施者の割合にも有意差を認めなかったが、推奨身体活動量の充足者の割合はBMI低値群で有意に低値を示した。 </p><p>【考察】</p><p> 身体活動量および週1回以上のウォーキング、筋力トレーニングの実施者の割合については群間で有意差を認めなかった。これらはいずれも前回調査時に低BMIで有意に低値を示した項目であり、低BMI群においては新型コロナウィルス感染の拡大後に身体活動が増加傾向にあることが示唆された。しかし推奨身体活動量の充足者は低BMI群で有意に低値であったことから、重点的に身体活動量の増加に向けたアプローチを行う必要があると考える。 高BMI群は低BMI群より推奨身体活動量の充足者の割合は多いが前回調査の結果から運動実施者の割合や身体活動量は大きく変わっていないため、新型コロナウィルス感染拡大により減少した身体活動量や運動機会が改善していない可能性がある。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は笹川スポーツ財団にデータ使用を申請し、提供を受けた「スポーツ・ライフデータ2022」のデータを使用した二次分析であり、データは提供を受けた時点で匿名化されていたため倫理審査を必要としない研究であることを確認したうえで実施した。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ