幼児期における遊びの現状と活動量について保護者へのwebアンケート調査による検討 ―新型コロナウイルス3年を向えて―

DOI
  • 前田 明子
    豊橋創造大学大学院 健康科学研究科
  • 辻村 尚子
    豊橋創造大学大学院 健康科学研究科 豊橋創造大学 保健医療学部 理学療法学科
  • 金井 章
    豊橋創造大学大学院 健康科学研究科 豊橋創造大学 保健医療学部 理学療法学科

抄録

<p>【はじめに】</p><p> 新型コロナウイルス (以下:コロナ)流行以前から子どもたちの体力・運動能力の低下が問題視されている中で、自粛生活によりさらに体を動かす時間が減少し、子どもの運動能力や遊びが変化したのではないかと考えられる。そこで本研究は、コロナ 3年を迎えた幼児期における子どもの遊びの現状と活動量の把握・分析することを目的に、幼児期の保護者を対象にwebアンケート調査を実施した。 </p><p>【方法】</p><p> 2023年1月16日~1月31日の間にT市幼稚園協会に加盟している幼稚園・こども園 (26園)の園児 (年少~年長)の保護者約 4000名を対象に依頼文を配布し、調査を実施した。調査項目は、身長・体重、家庭での遊びや運動時間、活動量等について先行研究・文献で調査された内容を参考に、全37項目で構成した。抽出されたデータから相関関係 (Spearmanの順位相関係数で比較)、差の検定 (性差、学年、運動不足の感じ方を2群間: Fisherの正確検定、活動量を3群間:Steel-Dwass法のpost-hoc検定)を行い、関係性を分析した。 </p><p>【結果】</p><p> 調査に同意、回答した747名 (回答率:21%)を分析対象とした。 「家庭内で、室内遊びと外遊びどちらが多いか」に対して、平日は、室内遊び (82.6%)、外遊び (6.1%)、休日は、室内遊び (49%)、外遊び (25.4%)であった。子どもが家庭内で1番長い時間遊んでいる遊びは、TVゲーム、レゴブロックなどの室内遊び (96%)であった。「子どもの運動不足を感じているか」に対しては、「はい (63.4%)」、「いいえ (36.6%)」であった。子どもの1日あたりの体を動かしている平均時間 (活動量)については、「全くしない (8.6%)」「1時間未満 (72.1%)」「1時間以上 (19.3%)」であった。 性差では、ゲーム時間で、男女間に有意差がみられ (p=0.008)、学年間では、相関関係や有意差はみられなかった。運動不足の 感じ方では、保護者と子ども間に有意な正の相関関係があり ( ρ=0.4、p<0.001)、また、「感染予防で友達と遊ぶことに対して不安があるか」に対して、活動量が「1時間以上」と「全くしない」「1時間未満」の群で有意差 (p=0.002)がみられた。 </p><p>【結論】</p><p> 子どもの運動不足解消のためには、保護者と子どもが一緒に体 を動かすことができる環境や支援が必要である。さらに、子どもの運動時間や活動量を増やす環境と合わせて、保護者のコロナ感染への不安に対する援助対策が必要ということが示された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、豊橋創造大学大学院の倫理審査委員会の承認を得て実施したものである (承認番号H2022009)。また,本研究の対象者には書面にて研究目的および内容について説明し、研究協力については、webアンケートの提出をもって同意とした。</p>

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