新型コロナウィルス(COVID-19)の流行による当院リハビリテーション科の患者数の推移、出勤停止措置の調査

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 新型コロナウィルス (以下、COVID-19)の発生により当院でも感染対策を強化した。COVID-19の流行が当院リハビリテーション科 (以下、リハ科)に与えた影響を調査し、感染対策の効果検証を行ったので報告する。 </p><p>【当院概要】</p><p> 当院は68床の整形外科病院で月平均手術件数は230件である。令和2年度のリハ科職員は理学療法士75名、作業療法士5名が在籍し、月の平均リハ件数は外来9600件、入院3370件であった。 </p><p>【対象】</p><p> 令和2年度~4年度にリハ科に外来通院または当院に入院した患者と担当したリハ科職員とした。 </p><p>【方法】</p><p> 感染対策には患者は不織布マスク着用と受付前に検温と問診を実施し、入院患者はPCR検査を72時間以内に行ってからの入院とした。職員は標準予防策と飛沫感染予防策に加え札幌市の陽性者数に応じて行動制限を行った。COVID-19が流行していた3年間の外来と入院患者数の推移、リハ科職員の陽性や濃厚接触などの理由で出勤停止措置を行った件数と日数を後方視的に調査した。 </p><p>【結果】</p><p> 令和1年度実績と比較し、緊急事態宣言が発表された令和2年5月は外来-27%・入院-21%、令和3年5月は-11%・-13%、令和3年9月は+1%・+2%であった。 職員の陽性は3年度に3件、4年度に32件で、そのうち院内要因と思われるものは2件であった。クラスターの認定はなかった。出勤停止措置を行った日数は2年度6件17日、3年度36件117.1日、4年度144件515.7日であり3年間で186件、649.8日であ った。理由は自身が陽性となったための隔離が35件380日 (濃厚接触者からの陽性も含む)、低リスクの濃厚接触でPCR検査結果が出るまでの待機が75件18.3日、自身か家族が感染疑いで検査結果が出るまでの待機が48件86日、家族が陽性もしくは同居する幼児が濃厚接触者となったための隔離が28件165.5日であった。最も長期間となったのは陽性者が7件あった令和4年 8月の28件109.3日であった。 </p><p>【考察】</p><p> 初めてと2回目の緊急事態宣言では外来、入院ともに患者数が減少したが、3回目では減少はなかった。院内要因による陽性は2件であり、同居家族の濃厚接触者となってからの陽性が隔離期間を長くする要因であったため、家庭内感染対策も重要である。 </p><p>【まとめ】</p><p> COVID-19の流行がリハ科に与えた影響を調査した。オミクロ ン株流行期は陽性者が増えたがクラスターの発生は予防できた。院内要因の陽性は2件であり、家庭内感染対策も重要である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>すべての患者に書面にて同意を得た。職員には口頭にて了承を得た。</p>

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