通いの場の取組をPDCAサイクルに沿って評価するための枠組み:ACT-RECIPE

DOI
  • 清野 諭
    東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加とヘルシーエイジング研究チーム

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>令和元年に公表された「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会取りまとめ」では、一般介護予防事業 (通いの場)等をPDCAサイクルに沿って推進することが重要視されている。しかし、その具体的な推進方策や、標準化された評価の枠組みは明示されていなかった。そこで、令和2年度老人健康増進等事業および令和3~4年度厚生労働科学研究 (代表:藤原佳典)を通して、「通いの場の取組をPDCAサイクルに沿って評価するための枠組み」が提案された。本発表では、本枠組みの概要を紹介する。 </p><p>【方法】</p><p>枠組みの作成に先立ち、ワーキング・グループ (WG) が先行研究・評価指標をナラティブ・レビューし、枠組みの構築に活用可能な評価モデルや指標を抽出した。これらをもとに WGが作成した枠組み案について、研究分担者らによる検討委員会で協議し、WGが修正するという手順が繰り返された。令和2年度内にWG検討会は計15回、検討委員会は計4回、それぞれ開催された。これらの手順を経て作成した枠組み案について、 29自治体の担当者から意見が聴取され、編集者を交えて構成や文言が再度修正された。 </p><p>【結果】</p><p>本枠組みは、以下の6つの評価局面から構成された。 1)「理解」:介護予防・フレイル予防の要点や通いの場の必要性について理解する局面、2)「調査・計画」:地域アセスメントによって地域の強み・課題を明らかにし、課題解決の具体的な計画を立案する局面、3)「体制・連携」:課題解決に必要となる行政内外の組織と連携し、体制を構築する局面、4)「実施 」:課題解決に必要な取組を実施する局面、5)「評価」:取組による直接の成果 (アウトプット)と効果 (アウトカム)を確認する局面、6)「調整・改善」:評価結果をもとに計画や体制、取組内容、目標を再検討する局面。各局面において、自治体担当者が留意することが望ましいと考えられる計10のコア項目とそれに付随する小項目が「ACT-RECIPE (アクトレシピ)」として提示された。 </p><p>【結論】</p><p>本枠組み (ACT-RECIPE)の概要を紹介した。すでに公開済みの「PDCAサイクルに沿った通いの場の取組を推進するための手引き (自治体向け)」では、ACT-RECIPEの概要についても解説されている。本枠組みや手引きの活用によって、 PDCAサイクルに沿った通いの場等の取組や効果評価が、より一層進むことを期待する。</p>

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