内容分析手法を用いた形態素解析と構文分析及び共起分析の提案-仕事と腰痛のツイートデータを例として-

DOI
  • 原田 裕輔
    千葉大学法政大学 医学部医学研究院 公共政策研究科 法政大学 公共政策研究科
  • 澤野 純平
    医療法人社団いずみ会 北星病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>日本における腰痛を有しながらの就労継続者は多く、腰痛は労働生産性や生活の質、失職、休職などの人生のライフプランに影響を与えるとされ、腰痛の予防対策は急務である。厚生労働省が発表している令和2年業務上疾病発生状況を見ても、災害性腰痛の発生件数は新型コロナウイルス感染を除けば、5,582件の第一位である。これら腰痛に対し、日本における社会調査は量的データを扱ったものが多く、当時者の意見等の質的調査は少ない。そこで、本研究は情報科学における内容分析手法を用いて理学療法分野の基礎的資料とすべく、ツイートデータを使用した質的データの可視化を試みた。</p><p>【方法】</p><p>対象はTwitter APIを使用し、2023年4月23日~同年4月30日の期間にツイートされた公開データから“仕事 and 腰痛”の語が含まれている総数551ツイートを対象とした。方法はPython (ver.3.11.3)にて形態素解析を行った後、KH Coder3を使用し共起分析、Kruskal法による多次元尺度分析、Ward法による階層クラスター分析を行った。なお、形態素解析エンジンはMeCabを使用し、多変量解析の係数はJaccard係数を用いた。</p><p>【結果】</p><p>形態素解析の結果551ツイート中には69,058語が含まれておりこれらを分析対象とした。上位150位の共起ネットワーク分析の結果、サブグループとして27グループが抽出された。また Jaccard係数0.1以上の共起ネットワーク分析では“休む”“デスク”“ワーク”“人間”“関係”“頭痛”“腹痛”などの語が抽出された。これらの媒介中心性の高い語では“回復”“対策”が抽出された。多次元尺度分析では、“回復”“対策”の語に周辺に“疲労”“整体”“ストレス”といった語が抽出された。階層クラスター分析では併合水準より9つのクラスターが抽出された。</p><p>【考察】</p><p>今回の研究では、ツイートを使用した質的データの可視化に成功した。本研究より、仕事と腰痛を含むツイートを行った者において、“デスク”“ワーク”“人間”“関係”“頭痛”“腹痛”といった語が同時に出現しており、媒介を行っている語として“回復”“対策”“休む”が抽出された。これらより仕事で腰痛に悩む者はデスクワークや人間関係について発言し、頭痛や腹痛にも悩まされていることがわかる。また、それらを媒介する語に“回復”“対策”が選択されていることから上記の者は回復や対策を望んでおり、同時に疲労やストレスを感じており、対処法として整体を選択していることが示唆された。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>ヒトを対象とする臨床研究ではないため、倫理審査は行っていない。しかし、経済産業省「AI 原則実践のためのガバナンス・ガイドライン Ver. 1.1」を遵守している。</p>

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