通いの場参加者の要介護認定発生率~自治体事業としての評価~
説明
<p>【目的】</p><p>我が国における急速に進む高齢化は喫緊の課題であり、東京都町田市 (人口約40万人)も例外ではない.町田市の高齢化率は2020年に26.9%であったものが2025年には約28%、2040 年には約37%に達すると予測されている.また、2010年から 2019年で要支援要介護認定者数は7,500人増加し、今後も高齢者人口の増加に伴いその数は増え続けることから、介護保険制度を持続可能なものとするためにもその対策は急務である.この対策の一環として、町田市では2016年から地域づくりによ る介護予防事業を開始した.この事業では「高齢者の心身機能の維持・改善といきいきと安心して暮らせる町づくり」を目的とし、住民主体による週1回開催の体操をきっかけとした通いの場づくりを推進してきた.取り組んできた通いの場の効果を検証するため、通いの場参加者の5年間の要介護(要支援含む)新規認定 (以下,新規認定)状況調査を行なうことにした. </p><p>【方法】</p><p>対象は、町田市の高齢女性のうち2016年時点の要介 護(要支援含む)未認定者43,975名とした.分析は全高齢女性と通いの場の継続参加者(587名)における2016年度~2021年度の5年間の新規認定率を比較した.なお、通いの場の参加者は、 ①月1回以上の通いの場の参加者、②月1回以上の体操の通いの場参加者、③週に1回以上の体操の通いの場の参加者の3つに分類し、平成30年に東京都介護予防推進支援センターが発行した効果検証シートを活用し分析した. </p><p>【結果】</p><p>5年後の年齢調整新規認定率は、高齢女性全体で 16.4%に対し、月1回以上の通いの場参加者で11.0%、月1回以上の体操の通いの場参加者で10.9%、週に1回以上の体操の通いの場の参加者で7.8%であり、高齢者全体に比較し有意に低値を示した. </p><p>【考察】</p><p>通いの場の参加は、5年後の新規認定を抑制する可能性があり、特に週1回以上の体操の通いの場への参加の新規認定の抑制効果が高いことが明らかとなった.一方、本発表では通いの場の脱落者についての言及はできていないため、今後の検討課題である.年齢調整新規認定率は通いの場への参加の意義を示すとともに、介護給付費の抑制効果を示すことにもつながるため行政事業の評価指標として非常に重要なものとなる.データを追跡する作業は大変であるが行政職と協力してデータ分析をすることが望まれる. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本発表の内容については、関係者に口頭で説明し同意を得た。</p>
収録刊行物
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- 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
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日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 2.Suppl.No.1 (0), 33-33, 2024-03-31
日本予防理学療法学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390018198840832384
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- ISSN
- 27587983
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可