若年男女におけるロコモティブシンドローム高リスクの該当割合と関連要因

DOI
  • 坂主 竜生
    国際医療福祉大学病院 診療技術部リハビリテーション室 国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻理学療法分野
  • 松本 千晶
    国際医療福祉大学 保健医療学部理学療法学科
  • 久保 晃
    国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻理学療法分野 国際医療福祉大学 小田原保健医療学部理学療法学科
  • 遠藤 佳章
    国際医療福祉大学 保健医療学部理学療法学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> ロコモティブシンドローム (以下,LS)とは運動器の障害による移動機能の低下を指す.医療費・介護費の削減と労働力確保の観点から,若年者におけるLSの早期発見が重要である.先行研究では若年者を対象にLSに関する検討が行われている. Ohtsukiらは,29歳以下の男性においてLSの該当割合は27.6%, Uesugiらは,女子大生においてLS高リスクの該当割合は65% と報告している.しかし,これらの研究では若年者のLSやLS高リスクの関連要因については明らかにされていない.そこで,本研究では若年者を対象に,LSとLS高リスクの該当割合と関連要因を検討し,明らかにすることを目的とした. </p><p>【方法】</p><p> 対象は大学生87名(年齢:20.0 ± 1.1歳,身長:166.3 ±9.0㎝,体重:58.8 ±10.2㎏)とした.調査項目は,LSテスト,BMI, SMI,FFMI,PhA,握力,背筋力,栄養評価,睡眠評価,活動 評価 (IPAQ-SF)とした.まず,LS・LS高リスク該当者の割合を調査した.LSの基準は,日本整形外科学会が提唱するロコモ度に該当するもの,LS高リスクの基準は,Uesugiらの研究を参考に,20代の平均値以下のものとした.LSとLS高リスクの関連要因を調べるために,T検定とカイ二乗検定を実施した後,2項ロジスティック回帰分析(従属変数;LS,LS高リスク,独立変数;T検定とカイ二乗検定で有意差が見られた変数)を実施した. </p><p>【結果】</p><p> LS該当者は全体の11.6% (10/87人)で,男性では10.2% (5/49人),女性では13.2% (5/38人)であった.LS関連項目において統計学的に有意差は認められなかった.LS高リスク該当者は全体の51.7% (44/87人)で,男性では51.0% (25/49人),女性では50.0% (19/38人)であった.T検定とカイ二乗検定により,男性では飲酒の有無,BMI,喫煙経験,毎日の3食摂取,女性では体脂肪率,毎日の3食摂取に有意差が認められた.ロジスティック回帰分析により,男性では飲酒 (p=0.027, Exp(B)=0.205),女性では毎日の3食摂取 (p=0.039, Exp(B)=5.318)が関連要因として抽出された. </p><p>【考察】</p><p> 男性においては,飲酒しないことがLSリスクと関連していた.先行研究によると,飲酒する人ほど活動量が多いと報告されており,本研究でもその影響が示唆された.女性においては,3食摂取をしないことがLSリスクと関連していた.先行研究によると,食事を欠かすとパフォーマンスが低下することが報告されており,本研究でもその影響が示唆された. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は国際医療福祉大学倫理委員会(承認番号;22-Ig-232)の了承を得て実施している.</p>

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