コロナ禍における医療系大学生の運動習慣と精神的健康の実態調査

DOI
  • 重國 宏次
    東京保健医療専門職大学 リハビリテーション学部 理学療法学科
  • 加藤 剛平
    東京保健医療専門職大学 リハビリテーション学部 理学療法学科
  • 富田 義人
    東京保健医療専門職大学 リハビリテーション学部 理学療法学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 我々は2021年に新型コロナウイルス蔓延下 (以下コロナ禍)に おける大学生の運動習慣の実態調査において、緊急事態宣言などの外出自粛生活が運動習慣を減少させることを報告した。また、新型コロナウイルス感染前後における身体活動量減少は,不安・うつ状態や精神的不健康と関連しており、大学生においても身体不活動は、精神的不健康と関連していたとの報告がある。これらのことから、コロナ禍においての大学生の運動習慣と精神的健康について調査することは重要である。本研究は、コロナ禍での医療系大学生における運動習慣と精神的健康の実態を把握することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 調査期間は2021年6月から10月。対象者は医療系大学2校の学生153名 (男性33.3%, 女性66.7%)で,運動習慣を把握するアンケートを作成し,精神的健康の評価としてK6を使用し自己記入法により評価した。 </p><p>【結果】</p><p> 2020年以降コロナウイルス感染症感染予防に対する緊急事態宣言が発令され運動量が減少した、に対しては、 (55.6%)、変わらない (34.6%)、増加した (9.8%)。新型コロナウイルス感染症が怖くて外出を控えることがありますか、に対しては、はい (79.1%)、いいえ (20.9%)であり、あなたは運動習慣者であるか、に対しては、はい (31.4%)、いいえ (68.6%)であった。現在運動不足を感じるかについては、大いに感じる (54.9%)、ある程度感じる (33.3%)、あまり感じない (11.8%)、ほとんど感じない (0%)であった。K6合計点の平均値 (標準偏差)は9.7 (4.3)点。そのうち項目4.気が沈み込んで、何が起こっても気が晴れないように感じましたか、に対しては、ない (51.6%)、少し (23.5%)、 時々 (18.3%)、たいてい (4.6%)、いつも (2.0%)であった。 </p><p>【考察】</p><p> コロナ禍において、55.6%の学生が運動量の減少を自覚しているが、運動の習慣化までには至っていない状況が示された。若年層において十分な運動の習慣化が定着していない現状は、その後の身体活動量や体力の低下と関連し、生活習慣病等の発症に大きく影響する可能性が考えられる。また、精神的健康においても、多くの学生が何らかの精神的ストレスを感じていることが示され、コロナ禍等の他者との接触を避ける必要がある状況において、教育機関は運動を勧めて運動量の維持・増加を促すとともに、精神的ストレスに対しての支援体制を整える必要があることが示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は,東京保健医療専門職大学倫理審査委員会の承認を得て行った (承認番号TPU-21-021)</p>

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