体組成計の機種別測定差について

DOI
  • 井上 和久
    公立大学法人 埼玉県立大学 保健医療福祉学部理学療法学科
  • 小野塚 雄一
    医療法人眞幸会 草加松原リハビリテーション病院 リハビリテーション課

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>高額な体組成計と安価な体組成計とで大きな測定差がない場合、家庭でも気軽に安価な体組成計を使用でき、より信頼性のある体組成計として提示できる。本研究の目的は、4種類の体組成計を使用し、各機種で測定した結果について比較し、測定値を比較することとする。 </p><p>【方法】</p><p>対象者は整形外科学的および神経学的疾患の既往がない健常者のデータを得るため、所属機関の18歳以上の健常学生 35名とした (G-Powerによる算出:効果量0.5、有意水準0.05、検定力0.8によって決定)。測定機器は、高額な体組成計 (以下、 A機種)、安価な体組成計3機種 (購入価格が高い順:C機種>B 機種>D機種)を使用。測定方法は全自動身長計測計にて対象者の身長を測定。体組成計にて、各機種でパラメータ (体重・体脂肪率・骨格筋量・基礎代謝の4項目)を取得。なお、4機種の測定はランダムに行った。統計解析には、IBM SPSS Statistics Ver.28を用い、統計手法は体組成計にて得られた測定パラメータをA機種とB・C・D機種それぞれの2群比較をウィルコクソンの符号順位和検定にて行った。 </p><p>【結果】</p><p>対象者は7名となった。4項目を比較した結果、骨格筋量のみCおよびDに有意な差 (p<0.05)が認められた。 </p><p>【考察】</p><p>今回4機種の体組成計を使用した結果、高額なA機種に対してC・D機種は骨格筋量のみ有意に差が認められ、測定値の信頼性が低いことが明確となった。ただ、D機種においてはC機種ほど差が多くないため、購入価格が一番低額の機種として一般家庭でも経済的に利用しやすい機種となった。B機種は高額なA機種の家庭用として販売されており、スマートフォンとも連動し個人管理できるため、体重・体脂肪率・骨格筋量のパラメータのみで大丈夫であれば若干購入価格は高いが使用しやすい機種だといえる。それぞれの機種で測定できるパラメータが違うため、どのようなパラメータを測定し個々の健康管理をしていくかの違いによって、使用する機種を選択することになると思われる。なお、C機種の骨格筋量は、骨格筋・心筋 ・平滑筋 (内臓など)と体水分量を含んだ測定値のため他の機種に比べて高い測定値となる要因だと考えられた。 </p><p>【結論】</p><p>高額な体組成計と安価な体組成計とで測定値を比較した結果、安価な体組成計でもある程度測定値に差がないということが明確となった。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、ヘルシンキ宣言に則り被験者に調査の目的や手順を説明して署名による同意を得た。なお、埼玉県立大学の倫理委員会で承認済 (通知番号22061)。研究方法として予め、対象者に説明文書により研究目的を説明し、文書にて同意が得られた対象者のみ対象とした。</p>

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