緩消法の筋弛緩効果に対する諸要因の検討

DOI

抄録

<p>【目的】</p><p> 緩消法は筋に軽い押圧を加えながら筋活動を行わせる手技であり、5~10分の短時間で痛みを伴わずに筋を弛緩させることができる。これまでに我々は、緩消法による筋の弛緩効果について検討し、押圧力500g~750g、直径1~2cmでの押圧が効果的であることを報告した。しかし性別やBMI、介入前の筋緊張の程度は考慮せずに分析した。またこの研究では一側の腰背部筋を押圧した状態で体幹の側屈運動を行ったが、押圧していない側の筋への波及効果については検討していなかった。本研究では先行研究で得られたデータを更に分析し、緩消法の筋弛緩効果に対する諸要因および非押圧部への波及効果の有無について検討することである。 </p><p>【方法】</p><p> 本研究に同意の得られた健常成人41名を対象とした。被験者は端坐位をとり、施術者が一側の腰背部に押圧棒を当てた状態で、随意的に体幹の側屈運動を5分間行った。側屈運動は、左右15 度の位置に印をつけた鏡を目安に毎分60回に設定したメトロノームに合わせて行った。押圧には常時押圧力を目視できる押圧棒を使用し、押圧なし、250g、500g、750g、1000gの5条件で行った。腰背部の筋硬度は筋硬度計を用いて介入の直前・直後に測定した。また押圧500g条件のみ、非押圧側の筋硬度も同時に測定した。これらの値を用い、介入の前後比 (運動後/運動前)を求めた。 先行研究において有意な弛緩効果を認めた500gと750gの2条件の前後比を用い、性別、BMI、介入前の筋硬度、非押圧部への波及効果について検討した。前後比とBMIおよび筋硬度についてはピアソンの相関係数の検定、性別については独立2群のt検定、押圧部と非押圧部の前後比の比較については対応のある t検定を用いて分析した。統計解析にはRコマンダーを用い、危険率は5%未満とした。 </p><p>【結果】</p><p> いずれの押圧条件の前後比においても、BMIおよび介入前の筋硬度とは有意な相関を認めず、性別においても差を認めなかった。500gでの押圧の前後比の平均は、押圧部では0.87、非押圧部では1.01であり、押圧部の方が非押圧部よりも有意に低下した。 </p><p>【考察】</p><p> 本研究の結果、性別やBMI、介入前の筋硬度による違いは緩消法の弛緩効果に影響はなく、押圧部以外への波及効果は見られなかった。今後は筋膜性腰痛症のように、筋硬度の高い症例に対する介入効果について検討したい。 </p><p>【結論】</p><p> 緩消法による弛緩効果は、性別やBMI、介入前の筋硬度などの違いに影響しなかった。 </p><p>【倫理的配慮】【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究の趣旨,自由意志に基づいた研究であることなどについて,書面を用いて説明し,同意を得た後に実施した.本研究は東京国際大学および武蔵台病院の倫理審査において承認を得ている.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ