就業年代層における身体活動量と疾患管理に対する自己効力感との関連についての検討

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>身体活動量の向上は健康に良い影響を与える。また、自己効力感は、状況を変化させる手段を遂行する自己評価や確信の程度と定義され、身体活動量の向上をはじめとする行動変容や健康行動に影響を与える。自己効力感には様々な種類があり、これまでに運動行動に対する自己効力感が身体活動量に関連があることが報告されている。一方、服薬遵守や運動、食事などのセルフケア行動の管理を含む疾患管理は、健康増進に重要であり身体活動量を向上させる重要な因子である可能性があるが、疾患管理に対する自己効力感と身体活動量の関連性はまだ明らかになっていない。このことを明らかにすることは適切な健康行動の理解に役立つ可能性がある。よって本研究は、就業年代層における身体活動量と疾患管理の自己効力感との関連を明らかにすることを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p>2021年9月~2022年5月の間にPREVENT社が提供するスマートフォンアプリを用いたオンライン完結型生活習慣改善支援プログラム参加者のうち、開始時に疾患管理に対する自己効力感アンケートに回答した者を対象とした。身体活動の指標はFitbitを使用し、プログラム開始後、初めて記録があった時点から7日間の平均歩数 (歩/日)を用いた。疾患管理の自己効力感の指標として、The Diabetes Empowerment Scale-Short Form(DES-SF)を参考に我々が作成した疾患管理に対する自己効力感アンケートを用いた。疾患管理の自己効力感と身体活動との関連を、年齢、body mass index、基礎疾患の保有数、ウォーカビリティーの指標であるWalk Scoreで調整し、身体活動を従属変数とした重回帰分析で男女別に検討した。 </p><p>【結果】</p><p>対象となった者は649名 (平均年齢55.7±6.5、男性 571名、女性78名)であった。歩数 (平均±標準偏差)は、男性が9131.0±3903.0歩/日、女性が8245.3±3192.7歩/日であった。歩数と疾患管理に対する自己効力感アンケート合計点との関連は認められなかった (男性:β=35.9、p=0.32、女性:β =-15.7、p=0.85)。 </p><p>【結論】</p><p>就業年代層において身体活動量と疾患管理の自己効力感との関連は乏しい可能性が示唆された。疾患管理の自己効力感は運動以外の要因も含むため、今後は他の要因を考慮した調査が必要である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は甲南女子大学研究倫理委員会の承認を得て実施した (承認番号:2021008)。</p>

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