心不全入院患者の退院後,再入院するまでの日数に関連する因子の検討

DOI

抄録

<p>【はじめに】</p><p> 慢性心不全患者は退院後,再入院を繰り返すことは知られており ,再入院をするたびに身体機能が低下の一途をたどることが心臓リハビリテーションガイドラインにも記されている. そのためできるだけ再入院をするまでの日数を長引かせる必要がある.我々は再入院に影響する因子として高齢,心筋梗塞,心房細動の既往,腎機能低下,同居家族ありおよび退院時Short Physical Performance Battery (以下,SPPB)の低値が独立した因子と報告したが,再入院するまでの日数に関連する因子の報告はない.本研究の目的は退院後再入院するまでの日数に関連する因子を検討することである. </p><p>【方法】</p><p> 対象は2019年9月から2023年3月までに当院心不全にて入院した者のうち自宅に退院後,同期間内に再入院した者177名 (女性 99名,年齢86歳[80-91 歳])とした.対象者の患者背景,検査データ,入退院時に測定したSPPB,10m歩行時間,握力 ,mini-cog,6MWDおよび退院後再入院までの日数をカルテにて後方視的に調査し,再入院までの日数と関連する因子を検討した .統計解析はMann-WhitneyのU検定,Spearmanの順位相関係数および重回帰曲線を使用した. </p><p>【結果】</p><p> 退院後再入院までの日数は104.5日[29-303.5日]であった. Spearmanの順位相関係数の結果, Body Mass Index (以下,BMI) (r=0.197,p=0.009),BNP (r=-0.183,p=0.015),退院時握力 (r=0.180,p=0.023),高血圧の既往 (p=0.039)および同居家族の有無 (p=0.010)に有意な相関が認められた.重回帰分析より,BMI ( β=0.188,p=0.043)が再入院するまでの日数に独立した因子として抽出された. </p><p>【考察】</p><p> BMI高値は心疾患になるリスク因子であるが,BMI低値は予後不良の因子とされている.そのため,BMI高値である方が再入院するまでの時間を延長できるのではないかと考えられる. 臨床的意義として再入院する因子があり,その因子が改善困難と予測される患者に対しては栄養強化する指導していくことで再入院までの日数が延長できるのではないかと考えた. しかし,本研究は単一施設での結果であり,当院以外に再入院した者は除外されているため正確な数値とは言えない.また本研究のBMIは入院時のものである.心不全患者における入院時BMIが浮腫の影響を受けることが多く,純粋な肥満度を反映するものではないことが本研究の限界である.今後多施設での研究をしていく必要がある. </p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>本研究は東京警察病院倫理審査委員会の承認を得た (19-a20)</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ