安全衛生委員会が取り組む健康課題に理学療法士が貢献できる可能性

DOI
  • 垣見 尚宏
    医療法人徳洲会 札幌徳洲会病院 リハビリテーション科
  • 髙橋 廣彰
    医療法人徳洲会 札幌徳洲会病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに】</p><p> 安全衛生委員会 (委員会)は労働安全衛生法に基づき、労働災害 予防と健康障害の防止及び健康の保持増進に関して調査・協議し対策を講ずることが目的となっており、産業医、衛生管理者、委員で構成され、所属施設にて参画している理学療法士 (PT)も存在する。 また、第14次労働災害防止計画に腰痛・転倒予防対策の推進が明記され、PTの活用が期待されている。 併せて、近年は健康保持増進に関する課題が多様化しており、効果的な産業保健活動に向けてチームとしての取り組みが求められている。 今回、医療機関の委員会が行った調査から、重点的に取り組む健康課題と運動の行動変容ステージ (St)を把握し、健康課題に PTが貢献できる可能性を検討した。 </p><p>【方法】</p><p> 病院職員740名にアンケートを行い、回答は用紙かGoogleフォームのどちらかを選択して頂いた。調査内容は、心身の健康に関する悩みや症状・プレゼンティーイズム (QQ method)・運動の行動変容Stとした。 </p><p>【結果】</p><p> 有効回答は333名 (回答率45.0%)。心身の健康に関する悩みや 症状がある職員は250名 (75.1%)で、その中で症状が仕事に影響している職員は203名 (61.0%)だった。最も仕事に影響がある症状として回答数が多かったのは、腰痛・ 肩こり・ ストレス。労働生産性が低下している症状は、月経随伴症状・ 頭痛・ 疲労。行動変容Stは、無関心期27人(13.3%)関心期35人(17.2%)準備期 24人(11.8%)実行期40人(19.7%)継続期77人(37.9%)だった。 </p><p>【考察・結論】</p><p> 今回、健康課題の上位に挙がった、腰痛・ 肩こり・ 頭痛は各ガイドラインや指針において体操や運動が推奨されており、疲労 ・月経随伴症状・ストレス対策においても運動が効果を示す研究が報告されている。併せて、行動変容Stにおいて運動非実施者の中にも関心期や準備期が一定数存在することから、PTによる機能評価や運動の提案が対策方法として挙げられる。 また、腰痛・ 肩こりにおいては作業管理や作業環境管理の整備が推奨されている為、法令で義務付けられている職場巡視の一員となり、姿勢・ 動作の評価や対策を担う必要性も高い。 併せて、これら課題には産業医をはじめとする専門職と連携して取り組む必要があり、臨床現場においてチームアプローチを実践しているPTの親和性は高いと思われる。 これらの事から、安全衛生委員会が重点的に取り組む健康課題の改善や労働生産性の向上にPTが貢献できる可能性が示唆される。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本報告はヘルシンキ宣言に基づき行った。アンケートは個人の特定ができないよう無記名とし、文書にて趣旨等を説明し回答によって同意とした。</p>

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