自立高齢者向け住宅での運動指導と効果

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 高齢者が一度要介護状態になると以前の生活に戻るのは難しい。当社が運営する自立向けのサービス付き高齢者向け住宅(以下、オウカス)では、フレイルから要介護化に陥るのを事前に防ぎ、人生を謳歌していただくための住まい・サービスの提供に取り 組んでいる。またその先に、社会保障費の抑制や介護離職者の低減も目指している。 オウカスは2023年3月末現在、5施設・計452名(平均年齢83.4歳、平均介護度0.32)が入居している。安心安全な環境等を入居理由としている場合が多く、全員が入居初期から運動に積極的なわけではない。そのため、常駐する運動指導員を中心に入居者が運動を継続する仕組みの実践、館内のスタジオでの運動環境及び毎月約40本のレッスン(任意参加)の提供により、入居後徐々に運動習慣をつけている。本報告ではオウカスでの効果測定(体力測定)の実態(測定率の変化)と結果を報告する。 </p><p>【方法】</p><p> オウカスでは定期的(入居時及び年一度程度)に体力測定を実施(任意参加)している。種目は握力、5m最大歩行、開眼片足立、 TUG。本報告の結果として、①入居初期(入居3ヶ月以内)と②入居一定期間後(入居3ヶ月以降)における同一入居者の体力測定 結果をまとめた。①と②の変化は、大規模研究のデータをレファレンスしてスコア化し、握力、5m最大歩行、開眼片足立について各5点満点で評価した。 </p><p>【結果、考察、結論】</p><p> 2017年10月~2023年4月(対象者527名/退去者含む)において、体力測定の測定率は1回目71.3%、2回目、44.2%となった。測 定率が減少する主な理由として、結果の悪化を直視したくない、高齢にまでなって評価されたくない、自信がない、測定時間が長い、自己管理上不要、運動しないので計測も不要、ADL低下により実施不可、測定前に退去等が挙げられる。 また、①初期と②一定期間後の変化(対象者147名)について平均スコア(5点満点、①初期/②一定期間後/③差異②-①)は、握力(3.59/3.84/+0.25)、5m最大歩行(2.15/2.45/+0.30)、開眼片足立(2.82/3.11/+0.29)。今後も入居者が増える中で継続検討 していく。また、日々の取組みの中で運動習慣を定着させ、定期的に体力測定も実施することで、より適切に入居者の状態を把握し、健康寿命延伸に寄与していきたい。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>ヘルシンキ宣言に基づき、賃貸借契約締結時に個人情報の利用について入居者に説明をして書面同意を得ている。</p>

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