リハビリテーション専門職のストレス対処力と職務特性の影響について

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抄録

<p>【はじめに】</p><p>ストレス対処力Sense of Coherence(以下、SOC)は、 Antonovskyが健康生成論と提唱した概念で、ストレスに上手 く対処する事で心身の健康を守り、健康に元気に生きていく「健康への力」として呼ばれている。SOCはセルフケアとして重要であり、新卒看護師のメンタルヘルス対策として組織風土を高めることがSOCを向上させる、また作業療法士を対象とした調査でもSOCは良好な職場風土から形成されると報告がある。このようにSOCは職場の影響もあるが、職業自体がSOCを向上させる役割を果たすともあり、そこで仕事の内容の特性がモチベーションに影響すると考えられている職務特性に着目した。今回、個人のモチベーションである職務特性に着目し、SOCにどのように影響するのかを調査した。 </p><p>【方法】</p><p>対象者は、東京都内のグループ医療法人のリハビリテーション(以下、リハ)専門職129名である。方法は、2023年4月1日~22日の期間にGoogle formsを使用しアンケート調査を実施した。アンケートの内容は、個人属性として年齢、性別、既婚、職種、職位、勤続年数、職務年数、最終学歴、転職やリハ職以外の仕事の経験を調査した。SOCは山崎らが作成した日本語版13項目SOCスケールを使用し7 件法(1.まったくない、から7.とてもよくある)を使用し、職務特性は駒形らが作成した日本語版職務特性尺度(以下、職務特性)を使用して7件法(1.まったくない、から7.とてもよくある)として調査を実施した。統計学的検討は、EZRを用いて正規性を確認しSpearman'sの検定を行った。有意水準はP<.05とした。 </p><p>【結果】</p><p>SOCと職務特性は正の相関(r=0.29)であり、職務特性 の下位尺度ではタスク一貫性(r= 0.28)、タスク重要性(r= 0.20)、フィードバック(r=0.30)であった。職務特性とSOCの下位尺度は有意味感(r=0.40)であった。SOC高値群は職務特性の下位尺度であるスキル多様性(r=0.28)、タスク一貫性(r=0.43)、タスク重要性(r=0.36)、フィードバック(r=0.35)で、SOC低値群はフードバック(r=0.26)のみであった。 </p><p>【考察】</p><p>リハ専門職としての職務特性は、仕事の有意義感の経験と仕事の結果に対する知識を通じてSOCに影響すると考えられる。SOCは自身の健康に対して自己管理する能力として、自身の生活や人生に対する志向性として考えられており、専門職の職務に対する挑戦や努力は、自身の生活や人生の有意味感につながると示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、花と森の東京病院の倫理審査委員会の承認を得たものである。(承認日:2023年3月8日)対象者には、研究の説明と同意書、倫理審査委員会の承認の説明を行い、アン ケート調査の協力依頼をメールにて送付し、回答による同意を得た上で実施した。</p>

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