認知機能障害を有する者における座位行動研究

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  • 土井 剛彦
    国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部

抄録

<p>認知症は、加齢とともに有病率が上昇し、我が国の高齢化率や 今後後期高齢者の割合が増加傾向にある人口動態を考慮すると、我が国の重要な健康課題の一つであると考えられる。「認知症施策推進大綱」が策定されたように、国家施策として認知症の関連課題に対し注目が集まっており、予防と共生を中心とした様々な対策が講じられている。認知症の予防ないし発症の遅延を目指すためには、適時適切に行われる認知機能評価による状態把握と積極的な介入が求められる。特に、認知症の前駆段階である軽度認知機能障害 (mild cognitive impairment: MCI)を有 する者は、認知症になるリスクが高い反面、健常レベルへ移行する可能性を有しており、積極的に介入を実施すべき対象であると考えられている。2019年に世界保健機関 (WHO)より、「認知機能低下および認知症のリスク低減」に関するガイドラインが発表された。その報告において、身体活動による介入をはじめとした様々な生活習慣、活動の実施を元にした方法に対してエビデンスや推奨度に記載されており、身体活動による介入については、同ガイドラインにおいて比較的高い推奨度であった。実際、身体活動と認知症との関連性は、疫学研究はもとより、様々な介入研究によっても検証されてきた。我々の研究グループは、National Center for Geriatrics and Gerontology-Study of Geriatric Syndrome (NCGG-SGS)というコ ホート研究を2011年より実施し、フレイルやMCIをテーマに、認知機能をはじめとした様々な観点から高齢者の健康増進に関する検討を行ってきた。さらに、運動を用いた介入研究として、 MCIの認知機能に対する効果検証をランダム化比較試験にて行った。一方で、MCIや認知症に対して座位行動の関連性を検討した研究は、これら身体活動や運動の実施に関する研究に比べると報告が少なく十分に明らかになっていない部分もある。本セッションでは、「認知機能障害を有する者における座位行動研究」における研究動向とNCGG-SGSから得られた知見を共有できればと考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本発表に含まれる一部の研究は、国立長寿医療研究センターが実施したものであり、それにかかる倫理・利益相反における審査を同センターにて受けている。</p>

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