想像力問題としての自殺観念:“それ”(it, es)の到来、ソーシャル・サファリング、ナラテイヴ —bio/narrativeの医療人類学—

DOI
  • 下地 明友
    熊本学園大学水俣学研究センター 菊池有働病院

書誌事項

タイトル別名
  • The imaginative illness as suicidal ideation: The coming “it”, social suffering, narrative: Medical anthropology of the bio-narrative dimensions

抄録

<p>自殺の対人関係理論によれば、「自殺願望」に「獲得された自殺潜在能力」が加わったときに自殺が行動化される[9]。まず自殺潜在能力が獲得され、そこに「所属感の減弱」と「負担感の知覚」が重なることで生じた自殺願望が合流したときに、急性自殺状態を呈する。つまり自殺願望の発生が要となる。その観念(願望)の発生には「想像力」問題が背景にあるのではないか。</p><p>自殺観念を想像力問題として考察する。自殺観念を生む動的過程に想像力の意味形成のダイナミズムが仮定されるがそこに自殺観念の可塑性を見る。</p><p>想像力問題を考える際に、共通感覚の基礎としてのヴィーコの構想力(ingenium)や想像力(phantasia)、自殺学の祖といわれるEdwin Schneidmanの「脱出」、A.シュッツの「多元的現実」や「移行」などがとりあげられる。</p><p>自殺問題や自殺予防の理論と実践には、細目的諸条件に関する統計的数字化と科学的(後追い的)追求と同時に人間の想像力の探究が要請される。</p>

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198841165184
  • DOI
    10.51098/spcijasp.43.1_25
  • ISSN
    24368369
    18836046
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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