エンジイン生産誘導エリシターのハイスループットスクリーニング系の開発

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抄録

エンジインは,9もしくは10員環内に二重結合と,それを挟むように2つの三重結合を有する特徴的な構造を持つ化合物の総称であり,微生物によって生産される.生体内において,エンジインは,DNAのマイナーグルーブに結合し,生体内の反応により芳香環化され,それに伴って発生するビラジカルがDNAを切断することで,強力な抗菌および抗腫瘍活性を示す.これまで,数十種類のエンジインおよび芳香環化体が単離されているが,微生物ゲノムの解析からは,より多くのエンジイン生合成遺伝子クラスターの存在が示唆されている.しかしながら,多くのエンジイン生合成遺伝子は,通常の培養条件において発現量が低い休眠遺伝子であるため,これまでのエンジインの単離・同定には大スケールでの培養が必要であった.近年,化合物ライブラリーから見いだされたエリシター(生体反応を活性化する物質)が,休眠遺伝子の発現を活性化し,二次代謝産物の生産を誘導することが報告され,微量天然物の大量生産技術として注目されている.本稿では,エンジイン生産誘導エリシターを探索するため,蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer: FRET)を利用したハイスループットスクリーニング系を構築し,エンジイン生産誘導エリシターの探索および,新規エンジインの単離・同定を行ったHanらの研究を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Seyedsayamdost M. R., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 111, 7266–7271(2014).<br>2) Han E. J. et al., ACS Chem. Biol., 18, 1854–1862(2023).<br>3) Biggins J. B. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 97, 13537–13542(2000).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 60 (4), 342-342, 2024

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198841527552
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.60.4_342
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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