気になる児童に対する保育士の注意の特性を検証する

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タイトル別名
  • ネットワーク分析を用いた探索的研究

抄録

本研究では、気になる行動を伴う特定児童に対して保育士が持つ認知的性質を明らかした。計34名の児童の行動に対して、保育士は「気になる」子どもの行動チェックリストに回答するよう求められた。評価は対象児に対して複数回行われたこともあった。全62回の評定結果を分析した結果、チェックリストの集団領域が他領域に比べて気になる状況となりやすいこと、落ち着きのなさが他の因子に比べて気になる要素となりやすいことが確認された。また、リストの全60 項目のうち、落ち着きのなさに該当する項目と、衝動性に関与する項目が保育士にとって特に気になりやすい行動特性であることが示唆された。ネットワーク分析の結果を合わせて考えると、保育士の意識的な注意は児の落ち着きのなさや順応性の低さなどの他者を認識する力の弱さに向きやすいといえる。一方で、観察したケースの一部では、保育士の注意が児の他者を認識する力の弱さから、衝動性を中心とした他者を従属させるような自己中心的特性に向くように変化することも散見された。このような結果は、保育士の児に対する行動評価が力動的に変化することを意味している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198841619072
  • DOI
    10.51013/jadsjournal.3.2_36
  • ISSN
    24357626
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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