古代アテナイの葬儀慣習における伝統主義について

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タイトル別名
  • Athenian traditionalism in funerary customs

抄録

葬儀は、オイコスの重要な私的儀礼であったが、「ソロンの葬儀令」により、その公的な側面に規制を受けることとなる。前古典期からアテナイ社会が 円熟する古典期にかけては、葬儀令の対象となったオイコスが、ポリスとその社会制度の整備に伴って独自の発展を遂げた時期であった。そして公的な葬儀としてポリスが主導した戦死者の国葬制度も同時期に成立し、葬送演説では「アテナイ神話」とも呼ぶべき国家観が表現される。一方で葬儀令の規制対象とはならなかった、オイコスの中での伝統儀礼が、財産の継承と家意識の発展のために重視されるようになる。前四世紀には、このようなオイコスの伝統と、国家レベルでのパトリオスノモスという、ふたつのレベルにおける「伝統主義」が遵守され、それがアテナイ独自の法と社会規範の形成に重要な 役割を果たしたのである。

収録刊行物

  • 洛北史学

    洛北史学 3 (0), 50-72, 2001-06-08

    洛北史学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198841999488
  • DOI
    10.50967/rakuhoku.3.0_50
  • ISSN
    2436519X
    13455281
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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