血管内皮細胞におけるストレス応答性miR10bの機能解析

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  • Oxidative stress-induced miR10b disrupts endothelial cell function

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抄録

血管内皮細胞(endothelial cell, EC)の老化は、脳血管・心血管疾患だけではなく、アルツハイマー病や生活習慣病などの加齢関連疾患にも関与している。本研究では、ECストレスによって上昇するmicroRNA10b(miR10b)に着目し、miR10bがEC機能に対してどのような影響をもたすのか検討を行った。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)にmiR10bを遺伝子導入したところ、チューブ形成能と細胞増殖能の低下が観察された。さらに、miR10bは細胞間接着因子VE-cadherinの発現抑制および細胞膜局在を阻害することから、miR10bはECの細胞間接着や血管構造の安定化に重要であると考えられる。また、天然植物由来ポリフェノールであるフェルラ酸は、酸化ストレスによるmiR10b誘導を抑制してEC保護作用を示すことを見出した。これらの結果から、ストレス刺激によるECの機能変化の分子機序の一端としてmiR10bが関与していることから、miR10bを標的とした血管老化の評価や血管機能低下の防止・改善法の開発に繋がると考えられる。

収録刊行物

  • 医療工学雑誌

    医療工学雑誌 (18), 1-8, 2024-03-15

    広島国際大学大学院 医療・福祉科学研究科 医療工学専攻

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