神戸大学における教養教育の源流 : 学制改革に伴う新制神戸大学「教養課程」の設置過程 ([特集] 教養教育のあり方を考える)

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タイトル別名
  • The Introduction Process of General Education at Kobe University ([Feature]Reconsidering Liberal Arts and Sciences )

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抄録

本稿は、神戸大学を事例として、一般教養科目を担当する「教養課程」の設置経緯を明らかにし、設置当初の同課程の立ち位置について考察することを目的とする。新制神戸大学の発足過程において法学部と経営学部の設置が危ぶまれ、法学・経営学教員たちの強い危機感が、神戸大学の一般教養の期間を2 年ではなく1 年半とする要因となった。教養課程の主な母体は、神戸経済大学予科(予科)と姫路高等学校(姫高)の2 校だが、前者が設置に当たって主導権を握った。一般教養担当教員の選考では、学部教員より劣るとの認識のもとで手加減を加える方針が決定されたが、予科長は徹底した研究業績至上主義の選考によって姫高教授の多くを助教授以下に格下げし、さらに、優れた研究業績をもつ少数精鋭だけを学部教員に抜擢して残る全員を一般教養担当として仕分けたため、後者を前者より格下とみる意識が顕現化し、姫高から反発が生じた。新制神戸大学が発足すると、教員の辞令には一般教養担当であることが明記され、教養専任教員の固定化につながった。

収録刊行物

  • 大學教育研究

    大學教育研究 32 39-58, 2024-03-31

    神戸大学大学教育推進機構

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