知らない現象(不知火現象)を科学する4~不知火観測の実態と発生原理~

書誌事項

タイトル別名
  • Research the Natural Phenomenon called Shiranui 4 : The reality of Shiranui and the principle of its occurrence
  • <b>★日本地質学会ジュニアセッション優秀賞★</b>

説明

<p>研究者氏名:2年 徳丸亮汰・本田琢磨・新宅草太・小林 瑞/1年 米田直人・村上聖真・吉田大暉・西川幸輝1.不知火とは何か 不知火現象とは、不知火海で八朔(旧暦8月1日)に見られる現象である。親火と呼ばれる光源が大きくなって(盛火)それが二つに分かれ(分火)つながって見える現象とされている。科学的に未解明の減少で、40年近く研究がなされていない。2.疑問1:今、不知火は見られるのか?(1)観測方法・記録 不知火現象の観測を行うため、2022年8月27日夜から28日早朝、永尾神社の観望所と海岸の二地点で、大島方面に向けて観測を行った。(2)観測結果 不知火現象のように、光源が横につながって見える現象は確認できなかった。しかし、時間が進むにつれて光源の数が0→1→2と増えていく現象を確認できた。どのような原理でこの現象は発生したのだろうか。3.疑問2:観測した現象の原理は?(1)不知火海で発生する蜃気楼の概要 干潮時刻前に観測できた、光源が二つに見える現象は、昼間に温められた海面と、気温との温度差による空気の密度差が光を屈折させ、二つの光路が交差したときに、光源が反転して見える下位蜃気楼が発生する。(2)シミュレーションを用いた光路の説明①光源が町明かりで、海岸で観測を行った場合 A.海面と気温に温度差がない場合  光は直進するが、地面を基準にすると地球の丸い効果によって光路が曲線になる。よってある程度高い場所でないと、光源が見えない。 B.海面と気温に温度差がある場合  ア.シリコンラバーヒーターによる温度の計測   観測時の温度層を再現するために、ヒーター上の気温の鉛直分布を計測した。海面と気温の温度差(約4.3℃)をヒーターの温度と室温との温度差に近づけて計測を行った。  イ.温度差がある場合のシミュレーション   光が海面付近で曲げられ、直接光と屈折光(反射光)が交わり、下位蜃気楼が発生するといえる。また観測された現象は不知火海での大きな潮位の時間変化による「浮島現象」であると科学的に説明できる。②現代に漁火があり、観望所で観測を行った場合 以前、不知火が見られた頃の光源は漁火だった。光源が漁火で低位置だった場合、”温度層“の影響を受けやすく、より光が屈折する。よって現代でも不知火が発生し、海岸では見られないが、観望所では見ることができるかもしれない。4.疑問3:不知火の再現はできるのか?(1)実験方法・工夫 野外で不知火を観測することはできなかったが、室内でヒーターや扇風機などを用いて実際の不知火海に見立て、再現実験を行った。(2)結果①光源が横方向に分火した側方蜃気楼が見られた。②視線方向の微風を流すと2つの光源がつながり、伸縮した。③風を強くすると、下位蜃気楼になった。(3)再現実験から考える不知火の発生・観測条件①海面水温と気温に十分な気温差がある。 ②冷たい河川の流入③視線方向の微風            ④海面より少し高いところ5.研究結果・今後の展望 40年ほど観測や研究がなされていない不知火について実態を把握し、鮮明な写真・動画の記録を撮った。以前はなかった超望遠レンズやシミュレーション、ヒーターなど最新の機器を用いて、科学的に不知火に迫った。今後は舟を出してもらい、漁火を使って実際に不知火の撮影を行う。また気温のムラについてもっと調査を行いたい。キーワード:不知火現象、シミュレーション、側方蜃気楼、再現実験、シリコンラバーヒーター</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018285212018176
  • DOI
    10.14863/geosocabst.2023.0_523
  • ISSN
    21876665
    13483935
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ