ビタミンDサプリメントの心身の健康維持改善効果とビタミンD結合タンパク質遺伝子一塩基多型の影響

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タイトル別名
  • Mental and physical health maintenance and improvement effects of vitamin D supplements and the effect of vitamin D binding protein gene single nucleotide polymorphism

抄録

【目的】 ビタミンDはカルシウム代謝に関わる脂溶性ビタミンとして知られている。近年、ビタミンDの不足者と心の健康の関連や、ビタミンD結合タンパク質をコードするgroup-specific component(GC)遺伝子の一塩基多型(SNP)と血中25-ヒドロキシビタミンDレベルの関連が報告された。そこで、心身的な健康状態やビタミンDサプリメントの心身的な健康状態改善効果にビタミンDの栄養状態が関連するか、さらにGC 遺伝子の一塩基多型とビタミンDサプリメントの心身的な健康状態改善効果の関連について見出すことを本研究の目的とした。 【方法】 本試験に同意した若年女性健常者76名を対象に、食物摂取頻度調査票を用いた栄養調査、外出時間や日よけ対策に関するアンケート調査、2か所(rs7041、rs4588)のGC遺伝子SNP型の調査、および4種の心身的な健康状態に関するアンケート調査(ベックの抑うつ質問票-II:BDI-II、特性不安尺度:STAI、知覚されたストレス尺度:PSS、Cook-Medleyの敵意スケール:Ho)を行った。その後90日間ビタミンDサプリメント(ビタミンD3として25μg/日)摂取させ、90日後に再び精神的な健康状態に関するアンケート調査を行った。 【結果】 栄養調査および外出時間や日よけ対策調査から試験参加者をビタミンD充足群と不足群に分けると、不足群において、心身的な健康状態のうち、BDI-IIのスコアが充足群と比較して1.5倍高かった。90日間のビタミンDサプリメント摂取により、不足群でBDI-IIスコアが有意に低下した。2か所のSNP型を合わせ、白人に多いSNP型所有者をグループ1、その他の者をグループ2と2群に分け、心身的な健康状態に関するアンケート調査の結果を比較したところ、サプリメント摂取前ではグループ1の方がグループ2よりもBDI-IIスコアが有意に高かった。また、ビタミンDサプリメント摂取によるBDI-IIスコア低下はグループ1でのみ観察された。 【考察】 若年女性において、ビタミンDが不足している人では抑うつ度が高まること、ビタミンDサプリメントによるうつ症状改善効果は、特にビタミンDが不足している人に有効である可能性が示唆された。また、グループ1の若年女性は抑うつ度が高く、ビタミンDサプリメント摂取によるうつ症状改善効果は、グループ2の者よりも高いことが示唆された。

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