青年期後期から成人期にわたる親の老いの認知と親に対する感謝の心理状態および老親扶養意識との関係

書誌事項

タイトル別名
  • Relations of awareness of parental aging with gratitude toward parents and filial responsibility: Late adolescence to early adulthood

抄録

本研究の目的は、青年期後期から成人期の子による親の老いの認知について、親に対する感謝の心理状態を介した老親扶養意識との関係を明らかにすることである。20 ~ 39歳の800名へ、2017年12月にweb調査を実施し、親の老いの認知、親に対する感謝の心理状態、老親扶養意識などについて尋ねた。各指標の年代と性別による得点を比較した上で、第1水準に親の年代、親の健康状況、親との関係良好度、子の就業状況を、第2水準に親の老いの認知を、第3水準に親に対する感謝の心理状態を、第4水準に老親扶養意識を置いたモデルを設定し、父親と母親それぞれの関係で性別(男性・女性)による多母集団同時分析を行った。分析の結果、青年期後期から成人期の子による親の老いの認知が親に対する感謝を介して老親扶養意識と関連することが示唆された。父親と母親、息子と娘のすべての関係性で、親の心理的成熟を認知しているほど親に対する感謝の気持ちが大きくなり、情緒的支援志向が高まり、親の活動性の減退を認知しているほど自分が苦労しているのは親のせいだと感じており老親自立期待が高まることがみられた。また、息子は父親の活動性の減退を認知することで負担をかけたことへのすまなさを感じて、情緒的支援志向と伝統的扶養志向が高まることに対して、娘は父親の心理的成熟を認知することで負担をかけたことへのすまなさを感じて、老親自立期待が低減し情緒的支援志向が高まることが示された。指標間の関連の一部では、父親と母親、息子と娘の関係性ごとに異なる特徴がみられた。

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